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ステロイド外用薬

「ステロイド」は別名を「副腎皮質ホルモン」といい、もともと体内代謝に関与する役割を果たしています。この副腎皮質から分泌されるホルモンは3種類のタイプに分類されます。糖質(グルコ)コルチコイド、鉱質(ミネラル)コルチコイド、男性ホルモンです。そのうち、糖質コルチコイドは糖新正(体内のグルコースの産生)や脂質代謝など基本的な生理活性に関与し、免疫応答や炎症を抑える役割も知られ、コルチゾールが代表的です。鉱質コルチコイドは、特に腎臓において、ナトリウムやカリウムなどのミネラルバランスを保持する役割があり、アルドステロンが代表的です。この2つのタイプの副腎皮質ホルモンのアナログ(擬似体)の多くが、強力な抗炎症薬となり、様々な疾患に用いられています。

ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎やその他の皮膚疾患によく用いられ、主な薬効はほとんどすべての炎症(じゅくじゅく・皮膚の浮腫や肥厚・かさかさなど)を抑えることです。そのため、炎症部位のない単なる乾燥肌(ドライスキン)にはほとんど用いる必要がありません。また、この外用薬の多くは痒みを抑えることはできないため、痒みを抑制するためには、ステロイドに抗ヒスタミン剤などを混ぜた外用薬や抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服が必要となります。

ステロイド外用薬は「副作用が怖いもの」という概念が先行して、その概念だけで敬遠されがちですが、炎症の程度によっては、ステロイド外用薬を上手に利用して、湿疹などをコントロールする必要もあります(特に、じゅくじゅくなど炎症がひどい場合)。ただし、一部の重症のアトピー性皮膚炎では、ステロイド外用薬のみではコントロールできないことがあるので、軽症・重症に関わらず、生活環境の改善をしないまま、ステロイド外用薬にのみ依存するという考え方は避けるべきです。逆に、生活環境の改善をも考えずに、言葉のうわさだけで、単にステロイド外用薬を敬遠し、治療法をとまどう人にも言えることです。

<薬の強さと使い分け>
◇強さ
薬効(主に血管収縮能)の強さにより、5段階に分類されています。strongest(SG=最強)、 very strong(VS=とても強い)、strong(S=強い)、mediun or mild(M=中程度)、weak(W=弱い)です。皮膚疾患のうち、特にアトピー性皮膚炎では、乳幼児から成人期まで幅広い年齢層に該当するので、それぞれの年齢層に応じた外用薬が選択される必要があります。参考までに、乳幼児と小児における、もっともよく使われるステロイド薬の強度を載せます。医師によっては、ここに示したものより強いものを処方するかもしれません。そのことで不安が強い場合は、処方理由を尋ねて下さい。特に、皮膚症状の悪化(じゅくじゅくがある、ただれがある、細菌などによる二次感染がある場合など)が認められる場合には、ここで示す外用薬より強いものを処方される場合があります。

部位 乳幼児 小児
W・M M・S
顔・頚部 W・M
体幹・四肢 W・M M・S

◇使い分け
1.strongestに属する外用薬
主に手のひらや足の裏などの皮膚の厚い部分に使用しますが、ごく短期間であれば、別の部位の急性皮膚炎にも使用されることがあります。

2.very strongとstrongに属する外用薬
最も使用頻度が多く、症状にあわせて用いられます。

3.mediun or mildに属する外用薬
顔面や陰部などの吸収率の高い部位によく使われますが、これらの部位では副作用が出やすいので、慎重に使うべきです。

<薬の剤形・上手な塗り方・使用上の注意点・各部位への使用量の目安>
◇主な剤形
1)軟膏
半透明の油性のもので、皮膚保護作用が最も期待できる剤形です。刺激性が低いため、どの皮膚症状にも適しています。特に、じゅくじゅくした部位やびらんとなった部位には有効ですが、ややべたつき感があります。

2)クリーム
白く不透明で、界面活性剤を用いて、油と水を混合しています。皮膚の保護作用はあまりなく、界面活性剤による皮膚炎を起す場合があります。しかし、軟膏よりはべとつかず、使用感がさらっとしているので、顔や手足に使用されます。刺激性のある場合があり、じゅくじゅくした部位やびらんとなった部位には用いられません。

3)ローション・スカルプ
液状で、上記二つの剤形よりよりさらっとしているため、どうしてもべたつくのが嫌な部分に塗ります。乳液性やアルコール性(透明なもの)のタイプがあり、主に頭部や腋などの毛髪部位に用いられます。アルコール性のタイプには刺激性があるので、じゅくじゅくした部位やびらんとなった部位には不向きです。乳液製のタイプはアルコール性よりも刺激が少ないそうです。

4)貼付剤(テープ・プラスター)
ついつい手が届くために、掻いて傷つけて改善が遅れる限局性の湿疹や、硬く盛り上がった結節性痒疹などに有効です。ただし、発汗の強い部位や、じゅくじゅくとして血清がにじんでいる部分には、あせもや感染症の原因となるため使用できません。

5)スプレー
日焼けなどの広範病変には有効ですが、アトピー性皮膚炎にはほとんど使用しません。

◇上手な塗り方
1)軟膏・クリーム
少量を人差し指にとり、患部にちょんちょんと置き、かすかに光って見えるくらいに薄くまんべんなく塗り広げます。この際、強く擦り込まないようにしないと、逆に炎症部位を悪化させる原因となります。

2)ローション・スカルプ
まず指先に1滴をとり、毛髪を分けながら、頭皮に直径3−4cm位の範囲に指先で薄くのばして塗り広げます。

3)貼付剤(テープ・プラスター)
患部を軽く洗浄・乾燥後、剥離紙がついたまま、適当な大きさに切り、剥離紙をはがし、患部に1日に1回12−24時間貼付します。必要に応じて、夜間のみの貼付でもOKです。貼りかえるときも、患部の洗浄・乾燥をお忘れなく! 軟膏などと併用する場合は、貼付剤を局所に貼った後、軟膏などを塗ります。これを逆にすると、貼付剤が貼りつきません。下記のODT法と同様な効果が期待できます。

4)特殊な塗り方
a)ODT法(密封包帯法):外用薬を病変部に塗布した後、その上を病変部よりやや大きめのプラスチックフィルム(家庭用サランラップでもOK)で覆い、周囲を絆創膏で固定(12−15時間/日)する方法です。軟膏の効果が倍増することと、服に軟膏がつかないというメリットがあります。夏など発汗が多い時期は、この方法は使用しづらいそうです。

b)重層法
ステロイド外用薬を塗った後に、亜鉛化軟膏などを布に伸ばして、それを上から貼っておく方法です。湿疹病変を掻き壊して、じゅくじゅくになっている状態に使うと保護作用があります。また、ステロイド外用薬の効果も増強されます。亜鉛化軟膏は石鹸では落ちないので、オリーブオイルや椿油などでふき取ってから、ぬるま湯で洗い落とします。石鹸で無理にこすると、湿疹病変を悪化させます。

◇使用上の注意点
1)医師の指導に従い、決められた量を決められた回数で使用すれば(添付文書では、ほとんどのステロイド外用薬が1日に1−数回とありますが、3回くらいまでが理想的)、全身的な副作用は起こる可能性は低いです。皮膚におけるステロイド外用薬の吸収率は、部位によって異なります。特に、顔面や外陰部では吸収率が高くなることと、ステロイドの種類によっても吸収率の強弱が出るので、指示された部位以外に塗るのはやめること(下記の副作用の項も参照のこと)。

2)2週間程度使用しても、皮膚症状に改善が認められない場合は、医師に必ず相談することをおすすめします。いつかは効果が出るだろうと、だらだら使うのではなく、薬があわない可能性も考えること。

3)ステロイド外用薬と聞くと、使用することに不安になり、途中で勝手にやめてしまう人がいます。その結果、症状の改善を遅くしたり、逆に悪化させる原因となることがほとんどです。そのため、使用に不安を感じたら、医師に必ず相談することが必要で、自己判断で中止をするのはやめること。特に、強いステロイド外用薬の場合は、段階的に弱いステロイド外用薬へと移行し、保湿剤などの非ステロイド軟膏に変更する必要性があるため。

4)ステロイド外用薬を約1−2週間程度使用すれば、ほとんどの症例では一時的であっても症状の改善が得られるので、その後は保湿剤などの非ステロイド外用薬でスキンケアを行うことが望ましいと思います。そのため、改善傾向が得られた時点で、医師に相談をして下さい。ただし、非ステロイド外用薬のみで改善傾向を維持できない場合は、weakのステロイド外用薬を約1週間ほど使用し、その後は隔日や2日おき、3日おき…と徐々に間隔をあけて使用を中止する方向に持っていくなど、ステロイド外用薬の比率を徐々に減らすことが望ましいと思います。これに関しても、医師に指示をもらって下さい。

5)ステロイド外用薬の再使用をする場合は、 2週間以上の間隔をあけることが理想的だそうです。上記のように、ステロイド外用薬を約1−2週間程度使用後、症状が再発をして、2週間以上の間隔があけられない場合は、少量であっても毎日外用するより、隔日や2日おき、 3日おき…と徐々に使用間隔をあけながら中止する方向にもっていきながら使用すると、副作用が防ぐそうです。使用しない日は、保湿剤などの非ステロイド外用薬でスキンケアを行います。

◇各部位への使用量の目安
1)顔面部への使用
1カ月以上連続使用すると、その副作用により皮膚炎が発生する可能性があるので、顔面部にはなるべくステロイド外用薬を使用しないことが望ましいそうです。しかし、紅斑、びらん、鱗屑、腫脹などが強い場合には、2−3 日比較的作用の弱いステロイド剤と白色ワセリンなどの非ステロイド外用薬を併用すること。顔面部へのステロイド外用薬の連続使用は約1−2週間が目安で、5g(5gチューブを1本)までが1つの目安ですが、局所的な副作用を防ぐための安全使用量はmediun or mild、weakのもので、1ヶ月5g以下のようです。

2)前頸部への使用
前頚部では顔面部よりやや吸収量は減りますが、原則として顔面部と同様に考えることをおすすめします。局所的な副作用を防ぐための安全使用量はmediun or mild、weakのもので、1ヶ月に5−10g(5gチューブを1−2本)以下のようです。

3)頭部への使用
ロ−ションやスカルプは使用量が多くなりやすく、頭皮は毛孔からの吸収量が多いので、副作用に注意することが必要です。必要な部位のみの使用にとどめ、その他は非ステロイド外用薬(保湿用ローションなど)と併用することが望ましいそうです。ロ−ションやスカルプはstrongest、very strongのものはなるべく避けることが理想的で。医師から処方された場合は、その処方理由や安全性などを尋ね、納得の上で使用して下さい。副作用を防ぐための安全使用量は、1ヶ月に乳児で10ml以下、小児以降では20ml以下のようです。

4)体幹・四肢への使用
下記の表を参考にして下さい。 

年代 1ヶ月に使用する安全使用量の目安
W・M VS SG
乳幼児 20g以下 10g以下 使用しない 使用しない
小児 30g以下 20g以下 10g以下 使用しない

<薬の副作用と注意点>
◇全身的な副作用
強力なステロイド外用薬を長期間全身(広範囲)に使用した場合、発熱や全身倦怠感を示す場合があります。また、慢性的に進行する骨粗鬆症、動脈硬化症の報告もあります。ステロイド依存性のこの症状は、強い外用薬を長期間使うほど、そして大量に使うほど、このような症状が出現しやすくなります。密封包帯法(ODT)では経皮吸収率が上昇するため、同じ強さの外用薬を使っても発現する可能性が高くなります。また、稀ではありますが、クッシング症候群などが起きる場合があります。一般的に、単純塗布で1日20g以上(通常、5gのチューブが処方されますが、それを4本以上、乳幼児・小児の使用で通常これだけ使用する人はいないと思いますが…)を連用すると、副腎機能に抑制が生じる場合があるからです。strongestに属するものでは、上記の約半量が限界値とされています。大量・長期連用をすると、乳幼児(特に、未熟児・低体重児として出産)・小児の場合、発育障害(ステロイドは身長が伸びることを抑制する)が起こる可能性があります。特に、おまたへの使用の際、おむつが密封包帯法(ODT)ととなってしまうことがあり、経皮吸収率が上昇するので注意をする必要性があります。

<参考>
密封包帯法(ODT)とは、外用薬を病変部に塗布した後、その上を病変部よりやや大きめのプラスチックフィルム(家庭用サランラップでもOK)で覆い、周囲を絆創膏で固定(12−15時間/日)する方法です。この方法は角層中の水分量を10−30%も増加させるので、単純塗布に比べてステロイドの経皮吸収量は約10倍にも増加します。この経皮吸収量の増加により、局所的副作用を起こしやすく、広範囲な病巣に用いた場合には全身的な副作用も起こりやすくなります。

◇皮膚局所への副作用
ステロイド外用薬を長期間連続使用していると、丘疹、ステロイド皮膚(皮膚萎縮・毛細血管拡張・紫斑など)などが生じます。わずかな温度変化や緊張で顔などが急に赤くなったりする場合もあります。これは顔面皮膚の成分である膠原繊維(結合組織の1つ)の変性により、血管壁が弱くなったものと考えられます。 上記でも書きましたが、顔面、頸部、陰部、関擦部位への使用には、充分考慮が必要です。眼瞼(まぶた)への皮膚使用に際しては、眼圧亢進、緑内障、白内障をおこす場合があるので注意をして下さい。また、感染に対する抵抗でもある炎症反応を抑えるので、水虫、カンジダなどの真菌などに感染しやすくなります。

◇注意点
抗生物質が入っていないステロイド外用薬を使用する際は、皮膚感染を伴う湿疹や皮膚炎には使用しないことが原則です。ただし、やむを得ず使用する場合は、抗菌剤や抗真菌剤による治療を行うか、これらとの併用をする場合があります。その1例として、我が家ではオムツかぶれが悪化し、カンジダ皮膚炎を併発したことがあります。一般的には、カンジダ皮膚炎など真菌感染の場合には、抗真菌剤剤のみで、ステロイド外用薬を塗布すると、症状が悪化すると言われていますが、この2つの混合外用薬(1:1)を用いることで、カンジダの増殖抑制と炎症改善の両方の効果により、早期に症状が改善しました。抗菌剤や抗真菌剤は細菌や真菌の増殖を抑制するが、炎症を改善しないこと、またステロイド外用薬は炎症を改善するが、細菌や真菌の増殖を抑制しないためだそうですが、これは医師の指示のもとで行いました。

<使用禁忌>
◇細菌、真菌やウイルスなどによる皮膚感染症がある場合、症状を増悪させる可能性があるため使用しないこと。ただし、抗生物質が予め混合されたステロイド外用薬は除きます。そのため、炎症部位にステロイド外用薬を使っても、悪化する場合は、これらの感染症の併発も考えられるので、医師に必ず相談して下さい。
◇皮膚潰瘍やステロイド外用薬による接触皮膚炎がある場合。
◇ステロイドによる副作用がその利点を上回ると判断されない場合。

<実際に使用されるステロイド外用薬>
次の項(ステロイド外用薬strongest〜strongmedium〜mild)を参照のこと。


<参考文献>
◇中川武正、詳しくわかるアレルギーの薬、p120−128、法研、2003年
◇西岡 清、アトピー性皮膚炎テキスト改訂第2版、p55−58、南江堂、2000年
 (これらの著書の感想はおすすめの本内にあります) 
アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2005


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