アレルギー・アトピー

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交叉抗原(共通抗原)

アレルゲン(抗原)はタンパクから出来ています。アレルギー症状を誘発するIgE抗体は、これらのタンパクと反応します。一般的に、タンパクは多くのアミノ酸が1本の鎖のように結合しており、それが毛糸玉のように織り込まれたコイル状の特異的な立体構造を有しています。1つのIgE抗体はタンパクの一次構造である数個並んだ(結合した)アミノ酸配列の特定の場所を認識します。この抗体が認識する特定の場所をエピトープ、つまり抗原決定基と呼びます。普通、1つのIgE抗体は、1つの特定のエピトープのみを認識します。そのため、このエピトープ部分の特定のアミノ酸配列とまったく同じアミノ酸配列をもつタンパクであるならば、このIgE抗体は他のタンパクでも認識することができます。また、その特定のアミノ酸配列のうち、1−2個のアミノ酸が部分的に異なっている場合、エピトープ部分とその周辺部の立体構造が基本的に同じであれば、他のタンパクでも認識可能となります。この、ある規則性をもって類似構造もしくは同一の構造を示すエピトープを何度も何度も示すようなタンパクはアレルギーを起こしやすいと言えます。

そのため、同じ種(科など)内、もしくは種(科など)がまったく異なっても、発生学的に同じ由来のタンパクが含まれているならば、エピトープ部分の基本的なアミノ酸配列が類似していたり、立体構造が同じであることが多く、1つの抗体が特定のアレルゲンのみならず、複数のものと反応をするため、多くの食品や環境物質(花粉やダニなど)などを認識することができるのです。また、まったく同じ(もしくは、ほぼ同じ)アミノ酸配列をもつタンパクが2種類以上の食品や環境物質に共通に含まれる場合があります。これを交差反応といいます。これら交差反応を起こすアレルゲンを交差抗原もしくは共通抗原と呼びます。このように、アレルギーの発症には、アレルゲン分子の免疫交差性が関与するため、生物の分類学上の類縁関係を超えて、分子レベルでの共通する構造や機能(未知のものもあれば、既知のものもある)に依存する可能性が高いため、アレルギーのメカニズムの解明(奥深い部分)や治療法に複雑さを与えているものと思われます。しかし、この交差抗原を理解することは、アレルギー予防でも重要なポイントの1つではないかと思われます。

ところで、この交差抗原を認識するIgE抗体がアレルギー症状の主原因である場合、多くの食品を除去する必要性が出てきます。しかし、実際はすべての食品が食べられないと言うのではなく、血液検査・皮膚検査・経口負荷試験などを参考にしながら、「食べられる素材を探す・食べられる方法を探す」ことが重要となります。

<注意>
◇多くの穀類(米・小麦・雑穀)に症状を示す場合(RAST的には同じ位の数値を示す場合)、この交差抗原を認識している抗体が原因である場合が多いようです。つまり、穀物の共通成分に感作を受けている可能性が高いのです。その場合、それぞれの素材を食べた場合の症状の程度の違いなどを注意深く観察して下さい。また、穀類間(特に、同じイネ科)での回転、つまり1日に1種類ずつ順に食べる方法では、症状の違いを観察することには有効ですが、もともと共通成分の多いものを毎日食べているのですから、新たなアレルギー予防という効果は期待できないかもしれません。そのため、イネ科とそれ以外に、サツマイモ(ヒルガオ科)、カボチャ(ウリ科)、ジャガイモ(ナス科)などを上手く組み合わせた回転により、食べることが可能となる方法を見つける必要性もあるようです。ちなみに、特定の穀類にのみRASTが高い数値を示す場合は、その特定の素材のみを認識する抗体が原因である可能性が高いようです。
◇穀類や野菜のすべてにそれほど高くないRAST値(2〜3)を示す場合、共通に含まれる糖質に感作されていることが多く、その場合は、実際にアレルギー症状を引き起こす力が弱い場合が多いようなので、血液検査、皮膚検査、経口負荷試験などにより、除去の必要性がどこまであるのか判断する必要性があるようです。


<花粉症と果物・野菜との関連(口腔アレルギー症候群)>
花粉症を起こすと、それに関連した食物にアレルギーを誘発する病気を口腔アレルギー症候群といいます。口腔アレルギー症候群とは、新鮮な野菜や果物を食べても、口腔咽頭部に痛みや痒みなどを生じることで、花粉症の方に多く認められるそうです。特に、カバノキ花粉症との関連が最も多く報告されているようです。この疾患とは知らずに、これらの野菜や果物を摂取し続けると、蕁麻疹、腹痛、下痢、嘔吐、喘息、ひどい場合にはアナフィラキシーを併発することもあるようです。これらの食物と花粉症の原因となる植物に、交差反応性を示す物質が共通に含まれていることが原因のようです。各花粉に対して、現在わかっている交差抗原は以下の通りです。最後に、これは単なる果物や野菜アレルギーのように思うかもしれませんが、果物や野菜を侮らないように摂取しないと、喉の奥の喉頭部が痙攣を起こし、浮腫を起こし、窒息をする場合があるからです。

花粉 果物・野菜・穀類など 特記
(ブナ目)
◇カバノキ科
シラカ(ン)バ・オオバヤシャブシ・ヤシャブシなど
◇ブナ科
ブナ、コナラ、クヌギ、クリなど 
(3〜5月)
◇リンゴ、モモ、ネクタリン、アプリコット、サクランボ、ビワ、アーモンド、ウメ、ナシ、イチゴ、スモモ、カリン、ラズベリー、ブラックベリー、カリン、プラム(プルーンなど)など(バラ科)
◇セロリ、セリ、人参、パセリなど(セリ科)
◇メロン、スイカ、ナスなど(ウリ科)
◇キウイ(マタタビ科)、ヘーゼルナッツ(カバノキ科)、バナナ(バショウ科)、山芋(ヤマノイモ科)、ジャガイモ(ナス科)、ゴマ(ゴマ科)、パイナップル(パイナップル科)など
◇シラカンバによる発症は、北海道に多い
◇オオバヤシャブシ・ヤシャブシによる発症は、西日本に多い
◇関東では、ブナ科に症状を示す可能性が高い
◇シラカンバ(属)はコナラ(属)や他の樹木の花粉との交差性あり
◇ブナ科の種の間では、交差性が高い
◇スイカ、メロン、キウイに多く認められ、スイカとメロンが特に多い
<シラカンバ花粉と果物・野菜で交差抗原の原因となるタンパク>
◇Bet v1(17kDa) (リンゴ・サクランボ・スモモ・ナシ・セロリ・人参・パセリ・ジャガイモなど):このタンパクはパセリ由来のPRP(PR−10)と親戚関係にある(相同性が高い)タンパクである。ジャガイモアレルゲン(バタチン:食物害虫の幼虫に対する殺虫作用あり)もPRPの一種
◇Bet v2:プロフィリン(14kDa) (ピーナッツ・大豆・セロリ・ナシ・リンゴ・人参・ジャガイモ・ライチ・トマトなど)
イネ科
◇カモガヤ、オオアワガエリ、ハルガヤ、シラケガヤ、ナガハグサ、コヌカグサ、ヒロハウシノケグサ、ホソムギ、イネ(水稲)、小麦、大麦、ライ麦など
(5〜7月)
◇アシ、ススキ、エノコログサ、オヒシバ、イタチガヤなど (8〜10月)
◇米、小麦、大麦、ライ麦、オートミール、ハトムギ、トウモロコシ、サトウキビ、粟、稗、コーリャン(タカキビ・モロコシ)など(イネ科)
◇カモミール・タンポポ(キク科)、ジャガイモ、トマト(ナス科)、リンゴ(バラ科)など
◇メロン、スイカ(ウリ科)、オレンジ(ミカン)、ピーナッツ(マメ科)
◇同じイネ科内の花粉同士での交差性が高い
◇ジャガイモ(ナス科)、リンゴ(バラ科)で症状が出る場合は、イネ科の花粉症を起こしやすい
キク科
◇ヨモギ、ニガヨモギ
◇セロリ、人参、パセリ、セリ、コリアンダー、三つ葉、香菜、アシタバ、ウイキョウなど(セリ科)
◇ピーナッツ(マメ科)、リンゴ(バラ科)、メロン(ウリ科)など
◇ヨモギ属内の他の種や同じキク属のフランスギクに交差性あり
◇ヨモギ以外のキク科の花粉症をもつ場合には、メロン・セロリで口腔内症候群をおこしやすい
キク科
◇ブタクサ(9月がピーク)
◇メロン、スイカ、アマチャヅル、ラカンカ、キュウリ、ズッキーニなど(ウリ科果実)
◇バナナ(バショウ科)など
◇ニセブタクサ、オオブタクサ、ブタクサモドキやオナモミ属との交差性が高い
スギ科
◇スギ(2〜5月)
ヒノキ科
◇ヒノキ(3〜4月)
(スギ)
◇トマト(ナス科)、リンゴ、モモ(バラ科)、メロン(ウリ科)、キウイ(マタタビ科)
◇スギ科とヒノキ科は、交差抗原となりやすい
◇多くの野菜・果物と共通抗原をもつことがわかってるようです


<ラテックス(ゴム)と野菜・果物の関連(ラテックス・フルーツ症候群)>
天然ゴムはゴムの木に傷をつけ、染み出てくる樹液を加工したものです。このゴムに対するアレルギーの原因となるタンパクは、植物が自らを守るための生体防御タンパクの1種であると考えられています。このようなタンパクは他の植物にも種を超えて存在しているため、ゴム以外の多くの植物に対してもアレルギー症状を起こす原因となります。ゴムに対して、現在わかっている交差抗原は以下の通りです。

交差抗原を有する食品 特記
バナナ(バショウ科)、キウイ(マタタビ科)、クリ(ブナ科)、アボガド(クスノキ科)、クルミ(クルミ科)、トマト、ジャガイモ(ナス科)、パパイヤ(パパイヤ科)、グレープフルーツ(ミカン科)、メロン(ウリ科)、イチジク(クワ科)、ピーナッツ(マメ科)など <原因となるタンパク>
ゴムなどに含まれるタンパク、ヘベイン(13種類)との交差性あり


<卵に関連した共通抗原>
鶏卵には多くのタンパクが含まれています。オバルブミン(オボアルブミン)、オボムコイド、リゾチームが、強いアレルゲン活性をもつ主なタンパクです。これらのタンパクの交差抗原は以下の通りです。

交差抗原を有する食品 原因となるタンパク 特記
ウズラ、ガチョウ、カモ、アヒル、七面鳥など他の鳥の卵 オボムコイド .
魚卵など鶏卵以外の種を越えた動物種の卵 オバルブミン .
鶏肉 アルブミンが主なアレルゲンではあるが、ごく少量のオボムコイドを含む ◇鶏肉中の主なアレルゲンは鶏卵とは異なりますが、七面鳥、ガチョウ、ひなバトのような家禽類との交差性を示す可能性が高い

<注意>
上記のタンパクは主に卵白に存在します。卵黄には含有量が少ないものの、卵白に含まれているのと同一のタンパクあるいは非常に近いタンパクの存在が認められています。数種の卵黄タンパクは、鶏の血清や皮膚タンパクと交差反応を示します。また、卵黄と卵白を分けるために固ゆで卵を作ったとしても、分けるまでの時間の経過とともに、卵黄へもわずかながら移行しますので、「卵白アレルギーではあるけど、卵黄アレルギーではないから」という安易な考えはやめて下さい。


<魚介類の共通抗原>
魚類は分類学的に近縁な場合、交差反応を示す可能性が高くなります。多くの魚類に症状が出る場合、系統分類上、同じ科や目ではなく、分類上離れた魚類なら食べられることもありますので、血液検査・皮膚検査・経口負荷試験を参考に、慎重に食べられる素材を探す必要性があります。また、魚の主要アレルゲンとなるタンパクは、筋肉に含まれれるパルブアルブミンとコラーゲンだそうです。そのうち、パルブアルブミンは魚の筋肉にある主要タンパクであるため、他の魚に含まれるパルブアルブミンと類似構造をもっていることが多く、1つの魚に対するアレルギーがあると、複数の魚に対して、アレルギー症状を示すことも珍しくありません。また、カエル肉との交叉性もわかっているそうなので、魚アレルギーがある場合には、カエル肉を代替食品として利用する場合も、症状が出ないかどうかを注意をした方が良いと思います。稀ではあるものの、このカエル肉でアナフィラキシーを起こした例もあるそうです。

. 交差性をしめす魚介類 特記
(スカシガイ科)
◇ラパスガイなど
アワビ、サザエなど他の貝類 ◇ラパスガイは寿司ダネや「煮貝」として土産品に利用
◇ラパスガイは「アワビ」または「トコブシ」と称されますが、日本産のもの(ミミガイ科)とはまったくの別物
<交差抗原の原因となるタンパク>
◇Keyhole Limpet Homocyanin:強い抗原性を有する
(甲殻類)
◇エビ、カニ、シャコなど
軟体類(イカ、タコなど) .
<交差抗原の原因となるタンパク>
◇トロポミオシン:ダニにも含まれるので、ダニアレルギーのある方は要注意
系統分類上、同じ科あるいは目に属するの魚同士は、特に交差抗原性が強い
甲殻類 エビ、ロブスター、シャコ、カニ、ザリガニなど ◇強いアレルギー症状を示すことが多い
◇エビとカニは交差性を有することが多い
◇エビの主要アレルゲンは熱に安定である
ニシン目 ◇ニシン科:イワシなど
◇サケ科:サケ、マス、ヤマメ、イワナなど
◇マグロとサケ、サケとタラに交差反応性あり
スズキ目 ◇サバ科:サバ、マグロ、カツオなど
◇アジ科:アジ、ブリ、カンパチなど
◇マグロとサケに交差反応性あり
カレイ目 ◇カレイ科:カレイ、オヒョウなど .
タラ目 タラ科:タラ、スケトウダラなど ◇サケとタラに交差反応性あり


<穀物の共通抗原>
穀物は分類学的に近縁な場合、交差反応を示す可能性が高くなります。また、穀物抗原はその花粉抗原間にも交差性を示します。注意事項は上記の見出しに書いたとおりです。

. 交差性を有するもの 特記
小麦 ◇デュラムセモリナ、ライ麦、大麦、オート麦、トウモロコシ、米など
◇ソバ(タデ科)
◇同じイネ科内での交差性が高い
◇小麦の主なアレルゲンはグルテンで、他にグロブリン、ロイコシン、プロテオース
◇ソバの主なアレルゲンはアルブミンとグロブリンであり、小麦との交差抗原である可能性が高い
<小麦と交差抗原の原因となるタンパク>
◇ω−5グリアジン(グルテン):ライ麦、大麦、オート麦
◇12−16kDa中性タンパク、119−132kDaアミノ酸残基:小麦、ライ麦、米、裸麦(大麦の一種)
◇小麦(イネ科)、ソバ(タデ科)、玉ねぎ(ユリ科)、ゴマ(ゴマ科)、大豆(マメ科)、南京豆(マメ科)
◇粟、稗、きびなど(イネ科)
◇植物発生学的に近縁関係にあるため
◇同じイネ科雑穀との交差性が高い
<米とカンジダにスコアがある場合(イーストコネクション):米に擬似反応を起こす食品(ただし、RASTでは陰性)>
◇小麦、そば、トウモロコシ、卵白、ミルク、ヤケヒョウダニ、カモガヤ、ライ麦、オート麦、大豆、ゴマ、糖分の多い食品(果物や野菜ジュースなどの果糖も含む)
◇擬似反応の食品だと7日以上の回転をすれば食べられるものもあると思うので、慎重に試すこと(個人差は多大)


<その他(果物や野菜など)の交差抗原>
同じ科や目に属する果物や野菜などは、交差反応を示す可能性が高くなります。また、それらがまったく異なっても、類似したタンパクやエピトープを含めば、交差反応をおこすことがあります。

交差抗原のあるもの 特記
◇モモ、リンゴ、ナシ(以上、バラ科)、大豆(マメ科) .
◇セロリ、パセリ、ニンジン(以上、セリ科)、モモ、ナシ(以上、バラ科)、ジャガイモ(ナス科)
◇アンズ、アーモンド、ネクタリン、ナシ(以上、バラ科)
◇上記1の通り、シラカンバ花粉との交差反応あり
◇サクランボ、リンゴ(以上、バラ科)、ピーマン(ナス科) .
◇パパイヤ(パパイヤ科)、パイナップル(パイナップル科)、大豆(マメ科)、イチジク(クワ科)、キウイ(マタタビ科)、ダニ <交差抗原の原因となるタンパク>
◇Gly m Bd 30K(グリシンマックス、バンド酸ジケトピペラジンの略:大豆の主要アレルゲン)、Der p 1(ダニアレルゲン)、パパイン(パパイヤ:酵素)、ブロメライン(パイナップル:酵素)、アクチニジン(キウイ:酵素)、フィシン(イチジク:酵素)と相同性が高いタンパク同士
◇ビスタチオ、マンゴ種子、カシューナッツ(以上、ウルシ科) ◇マンゴ果実との交差性は認められないという報告あり
◇玉ネギ、ニンニク(以上、ユリ科) ◇黄色玉ネギ、赤色玉ネギも含む
◇大豆(黒豆、枝豆も含む)、ピーナッツ、エンドウ、インゲン(以上、豆科) <交差抗原の原因となるタンパク>
◇Gly m Bd 30K(大豆の主要アレルゲン)がエンドウにも含まれている
◇コングリシニン(大豆タンパク:抗原性が弱い)がインゲンに含まれている

◇他にも多数あると思いますが、調べることができた内容が上記です。


<参考文献>
◇角田和彦、アレルギーっ子の生活百科第3版、近代出版
◇中村 晋、飯倉洋治編、最新食物アレルギー、永井書店
◇小林陽之助編、食物アレルギーの治療と管理、診断と治療社
 (これらの本の感想は、中村・小林角田にあります)


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