アレルギー・アトピー

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IgEとIgA、自然寛界と免疫寛容

免疫に関与する抗体、つまり、免疫グロブリンはIgA、IgE、IgM、IgG、IgDの5種類があります。これらは、抗原の刺激を受けたBリンパ球によって作り出されるタンパクで、抗体として機能します。このうち、主にアレルギーに関与するのは、IgE抗体とIgA抗体です。もちろん、他のIgG抗体なども関与はしますが、ここでは省略します。

1.IgE抗体
IgE抗体はアレルギー・アトピーの主役をなす抗体で、T型アレルギーの発症に関与します。発症の詳細なメカニズムについては、省略します。IgE抗体はリンパ球によって作られ、肥満細胞(皮膚や眼・鼻・胃腸・その他の粘膜下組織に多く存在)、好塩基球(血液中の白血球の種類の1つ)の細胞膜上にある受容体と結合する性質をもっています。健康な人の血液中には、微量のIgE抗体しか検出されません。大部分のIgE抗体は肥満細胞や好塩基球の表面に結合して存在していると考えられています。この肥満細胞などに結合したIgE抗体にアレルゲンが結合することで、細胞内のヒスタミンやヘパリンなどの炎症を起こす物質を含む顆粒が外に放出されるため、皮膚炎などの症状がおこります。

アレルゲンのほとんどはタンパクです。タンパクは多くのアミノ酸が1本の鎖のように結合しており、それが毛糸玉のように折りたたまれ、特異的な立体構造を有しています。このIgE抗体はそのタンパクの特定のアミノ酸配列を有する場所(エピトープ)に結合しますが、普通、1つのタンパクには、エピトープが数箇所存在しています。そのため、特定のタンパクのある部位だけのIgE抗体をもっている人もいれば、数個〜すべてをもっている人、いろいろなタイプに分かれます。また、1つのタンパクに対してのみのIgE抗体を有していることはまれだと思います。卵、乳、大豆、小麦、米などの5大アレルゲンをはじめとする多くの食品、またはダニ、ハウスダスト(埃)、花粉などの環境アレルゲン、動物(特に、ペットの毛や皮膚など)などに対する抗体を有している可能性があります。そこで、これらすべてのアレルゲンに対しての抗体価を測定したものが、RIST法で示される値であり、その抗体が何をアレルゲンとしているかを調べる方法がRAST法や皮膚検査(バッチ・皮内・スクラッチ)です。詳細は検査の項を参照にして下さい。

検査についてですが、検査薬(アレルゲンエキス)の種類にも限度がありますし、検査機関ですべての検査薬を常備しているとは限りません。また、通常の検査では、検出できないIgE抗体もあります(塩不溶性画分中のアレルゲンに対する抗体など)。そのため、RAST法などで特異抗原を調べたからといって、アレルゲンすべてを同定するのは不可能です。また、RIST法において、総IgE値がたとえ基準値内にあっても、その極微量に含まれる特異抗原の存在により、症状が強く出ることもあります。逆に、総IgE値が極度に高いからといって、必ずしも症状が出ているというものでもありません。この場合は血清中で遊離状態のIgE抗体の量を測定していますが、実際に悪さをするのが、肥満細胞や好塩基球に結合している抗体であるからです。ただ、検査値が高いということは、現在症状が出ていないにしろ、何らかのものに強く反応をする素因を持っていると考えた方が良さそうです(体調、気候、生活環境などが起因して)。これらの詳しいことは、こちらをご覧下さい。

参考までに、総IgE値は健常児でも年齢とともに上昇し、10−15歳で健常成人とほぼ同じ値になるようです。この総IgE値は湿疹がでている期間が長ければ長いほど、血清中の値(RIST値)が高くなるようです。特に、湿疹が10年以上湿疹続くと、急激にIgE抗体の量が増加し、多くのアレルゲンに対する特異的なIgE抗体が増えるようです。だから、RIST値の上昇する速度を抑えるためにも、また下げるためにも、お子さんの体質にあう湿疹改善法を模索し、早期から実施してあげることが重要だと思われます。年齢があがると、食物アレルゲンに対するIgE抗体の量は減りますが、今度は環境アレルゲンに対するIgE抗体が増えてきますので、早期より食事のみならず、環境整備にまで配慮することが良いそうです。

IgE抗体値の結果により、不安を抱いたりしますが、あえて、このIgE値に無理やり意味をもたせるのではなく、アレルギーとは関係のない刺激により、皮膚のバリアが壊れ、湿疹ができやすいこと、また、痒みを伴う場合、それらを掻きむしって、皮膚の悪化を招くという状況を繰り返すことで、アレルゲンの侵入を容易にし、IgE抗体が作られやすくなり、皮膚や呼吸器系などの他の器官で悪さをすることが考えられます。そうなると、単なるアトピー性皮膚炎から、アレルギー性のアトピー性皮膚炎、さらには、小児喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギーマーチを誘発する原因ともなりえます。だから、体内のIgE抗体が悪さをしないように、湿疹改善を試みるためのスキンケア、環境整備、食事管理には充分に配慮した生活を送ってよという警告を発してくれていると前向きにとらえることが重要だと思われます。

2.IgA抗体
この抗体は、血液中のみならず、分泌液(母乳:特に初乳に多く、涙、気管支粘液、腸管粘液など)の中にも存在し、粘膜局所の免疫防御作用などの重要な役割を果しています。このIgAの量を知ることは、体内における免疫力がいかに機能をしているかを判断する目安になります。特に、腸管粘膜においては、重要な役割を果しています。腸のパイエル板で分泌される量が体内でもっとも多いようです。このIgA抗体が腸管内に多量に侵入をしてくるアレルゲンが入るのを防ぐ役割があるため(腸管粘膜を覆う)、アレルギーの発症予防に効果があると考えられています。そのため、このIgA値が少ないと、アレルギーになりやすい条件下にあり、一般的に食物アレルギーをもつ乳幼児アトピー性皮膚炎では、血清IgA値が低いことがよく知られているようです。

ところで、母乳、特に初乳にはIgA抗体がたくさん含まれることがわかっています。世間では、生後半年をすぎると、母乳には免疫がなくなるし、栄養分もほとんどなくなるから、授乳をしても意味がないように、父母世代や友人などから言われたり、そういう風に考えている現在授乳中の方もたくさんいます。しかし、実際はそんなことはありません。確かに、初乳に比べると、IgA抗体の量は明らかに減りますが、ゼロにはなりません(産後4ヶ月目でも、0.5g/日の分泌があるようです)。断乳をするまで、微量ながらも絶えず、抗体が供給されています。栄養学的には、初乳から断乳時までほぼ同じというデータもあるようです。ちなみに、上記で書いた、「生後半年で免疫が切れる」というのは、胎生期に母親からもらった抗体のことであり、育児法の違いに関係なく、どの赤ちゃんにもいえることです。ただし、成長とともに、自分で作ったIgA抗体が機能しはじめ、アレルギーを治す力が強くなります。ちなみに、生後まもなくは0に近い状態ですが、生後2ヶ月頃から分泌がはじまり、徐々に増えて、生後8〜10ヶ月頃から盛んに分泌されるようになるそうです。それを考慮すると、離乳食開始もその分泌が盛んになる頃が良いのかもしれません。

3.自然寛界もしくは免疫寛容
乳幼児・小児期にアレルゲンとなる食物を口にできなくても、成長とともに食べられるようになることを自然寛界もしくは免疫寛容(アレルゲンとなる食品を口にしても、免疫機能が働かないこと)といいます。例えば、卵・牛乳アレルギーでは、統計的に3歳で約50−60%、6歳で約75%前後、9歳で約85%前後、12歳で約90%前後が自然寛界をしているようです。また、3年除去をすれば、米約90%、小麦約75%、大豆・牛乳約70%、卵約60%が食べられるようになるという統計もあるようです。この理由としては、消化器官(消化能力)が成長とともに発達し、摂取した食べ物を充分に消化できるようになることや、腸のパイエル板からのIgA分泌量が増えるからです。上記2で示したIgA値は、健常児では年齢とともに上昇します。その上昇度は比較的緩やかで、3-4歳以降は本当にわずかでフラットに近い状態(頭打ちの状態)になるようです。一方、アレルギーっ子は健康児の半分かそれ以下程度の量しか、IgA抗体を有していない場合が多く認められます。もちろん、個人差は多大です。しかし、3−4歳を越えると、免疫力が一気に上昇しはじめ、7−8歳頃には追いつくようになるそうです(健常児とほぼ同じ値まで)。このことは3−4歳頃になると、免疫力が増強されることや、消化能力の上昇が認められることから、多少のアレルゲンが入っても分解できる能力が強くなることを意味しています。そして、7−8歳頃にはあまり大差がなくなることから、多少の個人差はあるけれども、3−4歳頃から7−8歳にかけては、自然寛界(年齢とともに症状が出なくなること)されるケースが多いということを意味していると思います。

そのため、上記で書いたことに、なるべく早期のうちに気づき、早いうちに体内から体質を改善するような方法をとれば、早ければ、入園・入学をする頃には、他の子と同じような食品が食べられる可能性が高いのです。そのため、食物アレルギーで悩んでいるお母さん・お父さん方、この自然寛界を目指して、いつか子供さんたちが食べられるようになることを目標にしてみませんか? しかし、自然寛界をしたからといって、油断をしたら逆戻りをしますので、ご注意を!

上記1.で、エピトープは1つのタンパクに数箇所存在すると書きました。例えば、卵白の主なアレルゲンとなるタンパクはオボムコイドです。このオボムコイドは加熱に安定したタンパクとしてよく知られており(加熱に対して、変性しづらいタンパクのため)、一般的に、このタンパクにアレルゲンがあると、卵が食べられる時期が遅くなるようです。しかし、このタンパクにも数箇所のエピトープが存在します。これらエピトープの中にも加熱に弱い部分と強い部分があります。もし、加熱に弱いエピトープに対するIgE抗体をもっているのであれば、通常よりはるかに長い時間加熱をすることで、エピトープ部分に変性をもたらし、抗体が認識できなくなることで、卵を食べられるようになり、自然寛界も早くなります。逆に、加熱に強い部分のエピトープがアレルゲンとなる場合は、その逆となり、加熱を充分しても食べられない、つまり自然寛界が遅くなるようです。だからといって、一生食べられないといっているのではなく、免疫力がいかに増強されるかを目指して、体質改善を行うことで、低アレルゲン化したものなら、食べられるケースも増えているということもお忘れなく!


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