アレルギー・アトピー

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免疫系(Th1・Th2)&妊娠中からのアレルギー・アトピー予防

1.胎児〜生後の免疫機構
免疫系で抗体(イムノグロブリン)と称されるものには、IgA、IgD、IgE、IgM、IgGがあります。これらの抗体のうち、外部刺激に対して、アレルギー症状を引き起こすメカニズムに関与している主な抗体がIgEです。また、ウイルスや細菌などから体を防御するためのメカニズムに関与する抗体は、主にIgGです。

外刺激を受けて抗体産生をする際、体に侵入をしてきたアレルゲンをマクロファージがとりこみ、分解をします。その分解産物がマクロファージの表面に出てきて、ヘルパーT細胞(免疫の司令塔の役割をする細胞のこと)に提示することにより、サイトカインという物質が出され、B細胞(リンパ球の一つ)が活性化されて抗体産生をします。このメカニズムはIgEでも、IgGでも同様です。しかし、ヘルパーT細胞には少なくとも2種類あり、IgEを産生するように命じるもの(Th2)と、IgGを産生するように命じる(Th1)があることがわかっています。つまり、この2種類のどちらのヘルパーT細胞が活性化されるかで、アレルギーになるか、もしくは体の防御に関与するかが決まるようです。通常、この2種類のT細胞がバランスよく(とはいえ、Th1が優位に立つのですが)存在しております。このTh1が優位に働いてくれている限りは、花粉症や食物アレルギーなどの症状は起こりにくいのですが、体調が悪くなったり、食生活の乱れや環境の変化(ストレスなど)などからバランスが崩れると、Th2が優位になり、体には良くない症状がおきやすくなります。

アレルギーの発症に関しては、次のように考えられているようです。胎児のときは羊水の中でしっかりと保護され、いわゆる無菌状態にあります。そのため、外部(主に環境因子)からの異物が入ってこないと働かないTh1は、胎児期では劣勢となり、Th2が優位となります。胎児の時はアレルギー系の免疫システム(Th2免疫系)が優位なのですが、母親や両親がアレルギー体質の場合は、特にこの傾向が強いようです。そのため、胎児期は外部(環境)刺激には直接影響を受けないものの、母親が口にした食品などは胎盤を通じて、直接胎内に入るため、その影響を大きく受けます。

上記の理由としては、遺伝子の半分が父親由来であるため、母親にとっては胎児が異物であり、それを長期間体内で生存させるための免疫機構を哺乳類は進化の過程で獲得したからのようです。まず、母親は妊娠中に自分の免疫から胎児を保護するために、Th1を低下させ、Th2を優位に立たせます。そのため、赤ちゃんはTh2優先、Th1低下の状態で産まれ、生後まもなくから、腸内細菌などの刺激や外部環境の様々な抗原にさらされることにより、Th1が発達をし、Th2が抑制されていき、バランスのとれた免疫系が発達していきます。生まれてすぐはTh2免疫系が優位にあるため、どの赤ちゃんもアレルギーになりやすい状態です。そのため、なるべく早期からTh1免疫系を活性化する必要があります。生後数ヶ月はなるべくアレルギーを引き起こすと考えられるアレルゲンに触れさせず、体を防御する免疫系を活性化させる細菌やウイルスに触れることで、Th1免疫系が優位に立つようになります。また、胎児期から小児期にかけては、これらの免疫発達に多くの化学物質が関与しています。その時期に、アレルゲンが過剰に体内に入ってくることにより、食物アレルギや環境アレルギーなどの疾患を引き起こすとされています。

特に、アレルギー体質の子供は、このTh1免疫系が機能しはじめるのが比較的遅いか弱いため、生後しばらくは、どうしても胎児のときと同じTh2免疫系が優位のままです。そのため、過剰なアレルゲンの刺激に触れることにより、Th2系免疫機能が亢進し、多くのアレルギー症状を引き起こすようです。環境中の抗原(食物・ハウスダスト・ダニ・花粉・ペットの毛や皮膚の垢・細菌・カビなど)が多いと、生後3ヶ月以内の刺激がTh2を過剰に亢進させるので、生後まもなくからの環境整備や食物アレルギーに対する配慮が必要となるようです。しかし、Th2亢進だけでなく、Th1が異常に亢進されると、今度はTh1優位のアレルギー症状である遅延型を起こすようです(バランスが重要だそうです)。

<参考>
Th1は細胞性免疫に関与し、隠れ型アレルギーもしくは遅延型アレルギーの原因となり、Th2はIgE抗体や好酸球を介したアレルギー反応である即時型もしくは遅発型アレルギーの原因となるとされています。

2.アレルギーの起こしやすさと発症予防
アレルギーの発症に関して、両親からの遺伝により、ある程度は運命づけられているのはいうまでもありませんが、胎児期・乳児期・幼児期を通じて、上記1で書いたように、環境中の多くの要因により影響されていることが明らかとなってきています。また、免疫発達の過程では、Th1とTh2のバランスがとれた状態で発達をしていくことも重要です。

生後のアレルギーの起こしやすさですが、下記の4項目で主に決まるようです。
1.両親の遺伝(アレルギーの起こす頻度・食物や毒素の分解能力・遺伝子)
2.妊娠初期(器官形成期)、母親の体脂肪に蓄えられている環境汚染物質や、現在の生活環境・食物に残存する汚染物質の影響
3.胎盤完成後、母親の食べた食物・生活環境中の物質の影響(胎内感作)
4.生後、食物・生活環境中の物質への接触(触る・吸入・食べるなど)

特に、2の時期にほぼ決まるそうで、両親または家族にアレルギー性疾患の方がいる場合、アレルギー性疾患を軽度にしたり、発症させなくするためにも、妊娠前から(妊娠を望んだ時から:本来ならば、幼児の頃からが理想のようですが、こればかりは本人にはどうしようもないことなので)、食事・環境への生活に配慮し、妊娠後期から生後にかけては、ダニやハウスダストなど住居と食事に対する配慮の強化が重要だそうです(妊娠中なので、無理は禁物ですが、できる範囲内で)。特に、生後3ヶ月以内の刺激がTh2を過剰亢進させるそうです。

また、動物実験においては、胸腺(免疫系の細胞集団の集まった組織で、胸骨(胸の真ん中の骨)の裏側にある)の胎児期初期の 一般的に、妊娠中に、乱れた食生活や牛乳・乳製品、卵・卵製品、鶏肉などアレルギーになりやすい食品の過剰摂取により、このTh2が徐々に活性化され、IgE抗体を作り出しています。特に、妊娠8ヶ月頃(妊娠後期)から、この働きが活発になるそうです。これが別項に書いたように、妊娠後期からの食事制限が必要と考えられる理由です。アレルギーは遺伝的な体質による影響はありますが、妊娠中はもちろんのこと、産後に何を食べ、離乳食に何を食べさせたかにより、アレルギー体質は作られます。現在では、こちらの要素の方が子供の体質に大きく関与しているようです。

そのため、産後、母乳育児をする場合は、母親が口にする食物には注意をする必要があります。家系的にアレルギー体質の方がいる場合には、特に注意をしないといけないのはもちろんですが、アレルギー家系ではないからと、高カロリー・高脂肪・高糖分の食事、外食や惣菜類の頻繁利用、卵、牛乳・乳製品などを多量に食べていたりすると、遺伝とは関係なく、アレルギーが発症しやすくなります。また、保健所や病院などの指導により、例えば、牛乳は1日400mlまで、卵は1日1個まで摂取するようにと言われると、無理にその量を食べようとする方が多くなります。しかし、妊娠前にそれほどの量を摂取していない場合や、体質的に受け付けないのに、「子供の栄養ため、栄養のため…」と無理やり体に取り入れることは、実はアレルギー体質の子供を産む確率を高くする原因となっているようです。「体が受け付けない」=「体質にあわない」ということなのに、無理に摂取することで、体ではそれらを充分に処理できなくなり、結局未消化もしくは不充分に消化されたものを子供に与えることになるからです。だから、「自分の体の反応を素直に信じることが重要」なのです。

離乳食に関しては、早期からの開始が問題で、特に、蛋白源の摂取が早くなっています。そのため、離乳食の開始の目安(離乳準備も含む)は生後6ヶ月頃を基準とし、あくまでお子さんの体調にあわせて、「慌てず・急がず」で、スープからの開始が基本となります。保健所や病院などで指導される「生後2ヶ月頃からの果汁の摂取」ですが、果物アレルギーが増えている現状なので(老若男女とわず:花粉症との関連性あり:参考)、少なくとも生後半年までは与える必要はなく、むしろ遅いくらいの方が良いのです(離乳後期以降)。また、腸粘膜保護に関与するIgA抗体は、生後6〜8ヶ月頃から分泌が盛んになりはじめることから、この時期を開始の目安としても良いのかもしれません(特に、アレルギー体質であることが判明している場合で、もっとも盛んになるのは10〜12ヶ月頃だそうです)。離乳食に関しての進め方は、こちらを参考にして下さい。また、お子さんが食べることを嫌がる素材がある場合、味覚や舌触りが原因のこともありますが、体質があわなくて、本能で拒否を示している場合があります。そのため、嫌がる場合には、無理をして与えず、上記にも書いたように、「お子さんの反応を素直に信じることが重要」です。

最近は食生活や生活環境の大きな変化により、抗菌嗜好が強くなっているため、本来はTh1免疫系が優位に働く方向に向かうはずのものが別方向に進み、アレルギーの発症に大きく関与していると考えられています。そのため、現代の子供の3−4人に1人が、発症の有無に関係なく、何らかのアレルギー因子をもっている時代になっているのです。「両親や家系にアレルギーの人がいないのに、…」という言葉はよく聞きますが、こういう時代背景のために、この言葉がすでに通用しなくなってきているのです。だからこそ、子供が欲しい場合は、妊娠前から、もしくは妊娠に気づいた後から、遅くても妊娠後期から、上記に示したことを念頭において、アレルギー性疾患の発症予防もしくは軽減にとりくんでいただくための、何らかの参考になれば…と思っています。

<参考>
アレルギー体質の遺伝する確率は下記の通りだそうです。
1.両親がアトピー体質(遺伝的にアレルギー反応を起こしやすい=IgE抗体を作りやすい体質)の場合:60〜80%
2.両親がアトピー体質でない場合:15〜20%
3.片方の親、特に母親がアトピー体質の場合:50〜60%


<参考文献>
◇高田明和、アレルギーに負けない免疫体力をつくる、2002
◇角田和彦、食物アレルギーとアナフィラキシー、2003


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