アレルギー・アトピー

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アレルギー血液検査に関する疑問(RASTの信頼性)と隠れ型アレルギー

アレルギー検査の種類などについては、別の項に記載しました。今回は、最近の質問や相談に多い、アレルギー検査の代表である、血液検査(RAST)の結果に対する疑問とその信頼性について考えたいと思います。

血液検査(RAST)は、あくまでも目安、または信頼性が低いという声を良く聞きます。それはクラスの数値が出ているのに症状が出ない、逆に、クラス0(陰性)なのに症状が出ることもあるからです。このうち、特に困るのは、後者のRAST結果が陰性なのに、特定のアレルゲンで症状が出る場合です。アレルギーに詳しい先生なら、それがアレルゲンとなっている可能性も考えて、除去・代替指導などをしてくれると思いますが、一般的には、「クラスが0だから、アレルギーはないね。どんな食品を与えても良いから、どんどん離乳食・幼児食を進めなさい」と指導されることにより、困惑を生じることがあります。親にとって、この言葉はとても嬉しいのですが、離乳食・幼児食を与えれば与えるほど痒み・湿疹・下痢などの症状が出ることも多く、頭を抱えてしまうことも少なくありません。これには、隠れ型アレルゲンが関与している可能性と、検査上の問題が関与している可能性が考えられます。ここに掲載したものは、免疫学的・実験医学的な経験や情報をもとに、私があくまで推測をしていることをもとにしておりますので、必ずしも医療従事者における常識と一致しないこともあるかと思いますが、ご了承下さい。

1.検査上の問題点
<検査に用いることができるタンパクは、水溶性もしくは塩可溶性画分であるため>
食品に含まれるタンパクは1種類ではありません。多数のタンパクが含まれています。そのタンパクの性質は多様であり、水や塩に可溶性のものもあれば、不溶性のものもあります。血液検査自体は、生体外での反応をみるものです。そのためには、水溶性もしくは塩可溶性でないと、実験的に、抗原抗体反応を行うことはできません。しかし、食品に含まれるタンパクに可溶性もしくは不溶性のものがあるのと同様、その食品のタンパクを認識する抗体にも、可溶性タンパクを認識するものと不溶性タンパクを認識するものがあります。

一般的に、不溶性画分を認識する抗体は産生されにくいとされていますが、皆無ではありません。また、各個人が持ち合わせている抗体は、1つの食品に1種類ではなく、数種類の抗体を持っていると考えられます。例えば、米に含まれるタンパクには、アルブミン・グロブリン・グルテリン・プロミランなどのタンパクがありますが、例えば、アルブミンだけではなく、グロブリンなどの他のタンパクを認識する抗体を持ち合わせている可能性が高いし、それが一般的だと考えています。また、アルブミン・グロブリンは水溶性・塩可溶性ですが、グルテリン・プロミランは塩不溶性です。主にアルブミン・グロブリンを認識する抗体がある場合は、検査結果が反映すると思いますが、塩不溶性のグルテリン・プロミランを認識する抗体の比率が高い場合は、多少の実測値はあるけれども、クラスがつくほどの値ではない可能性も考えられます。そのため、症状があるのにもかかわらず、陰性と判定されることが多くなり、検査不信になるのだと思います。また、この米に対する反応が即時に出ている場合は問題ないのですが、そうでない場合、医師も本人(親)もアレルゲンとして認識もしくは自覚できないことが多くなるのではないかと思います。

<検査で調べている抗体と、症状に関連する抗体>
RASTで調べている抗体は、血液中に遊離をしているアレルゲン特異的な抗体価です。しかし、実際に即時型アレルギーを誘発する抗体は、白血球の1種である好塩基球や皮下組織などにいる肥満細胞の細胞膜表面に結合しています。この膜に結合した特異的なIgE抗体に、アレルゲンが結合することにより、アレルギー症状を誘発するヒスタミンやセロトニンなどの化学伝達物質が、これらの細胞内から放出されます。

だから、RASTでは、痒みなどの症状を誘発する、直接の原因となるIgE抗体のみを検査しているわけではないので、クラスが高くても、膜に結合している抗体が少なければ、そのアレルゲンが症状に大きく関与しないのではないかと思います。しかし、遊離している抗体がほとんどなくても、膜結合型の抗体が多ければ、RASTがクラス0もしくは実測値が低値であっても、アレルゲンとなる食品を摂取すれば、症状が強く出るのではないかと考えられます。そのため、リスト(RIST)検査により、総IgE値が高値に出たとしても、膜結合型の抗体が少なければ、環境整備・食生活・スキンケアをきちんと行っていれば、ほとんど発症をすることもなく、普通に生活できる例も多いのではないかなと思っています(あくまで推測ですが…)。もちろん、症状が出ないからと、ごくごく普通の生活(ノンアレルギー生活)で良いというわけにはいかないかもしれませんが…

<検査に使用するアレルゲンと、口にしたアレルゲンの立体構造が異なる可能性>
RASTクラスが高いのにも関わらず、食べても症状が出ない場合も多いと思います。これは抗体が認識するアレルゲンの立体構造などに関連している可能性が高いと思われます。検査に使用するアレルゲンエキスは非加熱の食品から製造されたものが多いと思います(断定はできなくてすみません)。しかし、実際に口にするアレルゲンは、乳幼児であれば、しっかりと加熱などの調理をくわえたものであることがほとんどです。この場合、加熱などの調理により、アレルゲンとなるタンパクが変性して、立体構造が変化したり、タンパクそのものが分解される可能性が高くなります。そのため、タンパクが変性・分解などの影響を受けると、抗体はアレルゲンタンパクのエピトープ部位(抗体が結合する部位)に結合することができなくなります。そのため、非加熱食品では反応しても、加熱をくわえた食品では無症状になることもあるのです。

ただ、前述のように、抗体の種類は1種類ではありません。別のタンパクを認識する抗体もあれば、同じ1つのタンパクでも、異なる部位のエピトープを認識する抗体が含まれていることも多々あります。そのため、同じ1つのタンパクでも、加熱に弱いエピトープ部分はすぐに変性・分解されますが、加熱に強い部分にエピトープがあると、抗体は認識してしまいます。これらの抗体がどの程度の割合で含まれているかは、まさしく個人の多様性であり、実際に口にしてみないとわからないのが現状です。

2.隠れ型(遅延型)アレルギーの場合
RASTでわかるアレルギーはT型アレルギーです。しかし、アレルギーの発症メカニズムには、4つのタイプがあります。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどに関与するのは、主にT型とW型であるとされています。W型は遅延型と呼ばれ、アレルゲンを摂取してから、数時間後から数日後、ひどい場合は、数週間後に症状が出るというものです。半日や翌日後であるならまだしも、数日後・数週間後となると、他のアレルゲンと間違いやすく、本来のアレルゲンがわかりづらいことから、「隠れ型アレルゲン」とも呼ばれています。

W型アレルギーはT型アレルギーと異なり、IgE抗体を介するものではなく、Tリンパ球を介する反応です。この場合、RAST検査によるアレルゲンの判定できないので、一般的には、食物記録&生活記録からの判断となります(参考:食物日誌のつけ方)。この遅延型検査の1つとしては、リンパ球刺激試験があります。血液中からリンパ球を取り出し、原因と思われるアレルゲンエキスをリンパ球と接触させて、そのアレルゲンに反応して増殖するリンパ球が存在するかどうかを調べます。現在の医療制度では健康保険適応ではないため、自己負担となるそうです。

もちろん、生体内でのアレルギー発症メカニズムは複雑なので、上記の理由だけで、検査の疑問を解決できるわけではありません。でも、結果は信頼できないから、または単なる結果だからというのではなく、検査の背景には、このような理由があるからこそ、広い視野をもって、様々な状況に対応していくことも重要なのではないかと考えています。しかし、私はRAST検査結果を信用しない、もしくは必要としないという考え方をしてはおりません。何らかのアレルギー反応があるかもと疑うのであれば、検査によりアレルゲンを特定すべきだと考えているし(食物記録・生活記録で特定するのはなかなか難しいから)、定期的に検査することの必要性も感じています。乳幼児の血液検査については、意見がかなり分かれます。一般的に、生後4ヶ月頃から検査可能です。ただ、医師によっては、「小さいときは結果が変わりやすいので、生後半年とか1歳、中には2〜3歳にならないと、血液検査結果が信頼できないから、検査をしない」と言われることも多いと思います。現に、生後3ヶ月未満だと、ラストが低い場合が多く、アレルギーであっても、かなりの確率で陰性と出てしまうことが多いようです。また、親自身も低月齢から採血することはかわいそうと、抵抗を示す人は意外に多いものです。しかし、アレルゲンは乳幼児期、小児期、そして、年齢が上がるに伴い、変化するのは当然のことなのです。生まれてまもなくは、胎児期にお母さん自身が食べたものに影響を受けているし、その後、母乳育児であれば、お母さんの食事、ミルク育児であれば、ミルクの成分に直接影響を受けます。離乳食がはじまれば、自分の口にしたものから、外に出る機会が増えてくると、今度は土や砂・ネコやイヌなどの動物の毛・花粉などの環境因子に影響を受けやすくなります。2〜3歳以降になると、食物アレルゲンに対する抗体が減り、ダニ・埃・カビなど環境アレルゲンに対する抗体が増えてくるというように、原因となる特定の因子が年齢により変化をするのです。

特に、乳幼児・小児期は皮膚が弱い場合が多く、様々な刺激(よだれ・食べこぼし・入浴剤・洗剤など)が原因で湿疹を作りやすいものです。最初はアレルギー性が原因ではない症状が多いのも事実です。しかし、これらの湿疹が原因で痒みを生じ、そこにかき傷を作ると、皮膚のバリアが障害され、その障害を受けた部分に食物因子や環境因子などが触れる(侵入する)ことが多くなると、そこからIgE抗体を作りやすくなり、アレルギー性の原因に変化する場合も多くなるようです。

もちろん、もともとの体質(遺伝性)もあり、これらに気づかないで、単なる乳児湿疹と思い、スキンケアのみでいる場合(乳児湿疹のみで終わる場合とアトピー性皮膚炎が併発する場合があるため)は、食事(母乳・ミルク・離乳食など)・環境が原因で、知らず知らずのうちに食物や環境アレルゲンに対する抗体ができている場合もあります。そのため、少しでも疑いをもったならば、可能な限り、早めに血液検査や皮膚検査を受け、その月齢や年齢における食物因子や環境因子を知ることにより、その月齢における、症状の悪化要因を排除することが重要ではないか?と思うのです。現に、乳児湿疹がひどく、長期化しているため、生後半年前後で、血液検査をして陰性であったため、医師・保健師の指導どおり、普通の離乳の進め方をして、1歳前後で多数のアレルゲンを抱え込んでいることがわかった例も少なくありません。このことは、この書物内の「かくれたアレルゲンをさがそう」という項目にも書かれています。

検査に関しては、いろいろな考えがあるので、上記はあくまで私の個人的な考えですが、「隠れたアレルゲンの多さ」を認識すべきで、それを認めてくれる医療機関が増えることを切に願うばかりです。参考までに、IgE抗体陰性の隠れ型アレルギーの例は、こちらの7・8・10です。


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