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小麦アレルギーが血液検査に反映されにくいのは?

あるアレルギー講演会で、「小麦アレルギーはグルテンに反応して発症し、そのグルテンには2種類(グリアジンとグルテニン)あり、この2種類のどちらに反応をしているかということで症状の出方が異なり、グリアジンに反応しているとスコアが低くても症状が出やすく、グルテニンに反応しているとスコアが高くても食べられる確率は高い」というお話があったそうです。

小麦の主要アレルゲンは塩可溶性画分(アルブミン・グロブリンなど:生理食塩水などの塩溶液に溶けやすいもの)と塩不溶性画分(グルテンなど:生理食塩水など塩溶液に溶けにくいもの)に分かれます。この存在比は約1:4で、塩不溶性画分の方が圧倒的に多く含まれています。グルテンはご存知の通り、小麦粉と水をこねたときにできる塊のことで、グリアジンとグルテニンからできています。グリアジンなども数種類に分かれますが、細かいことは省略します。これらのグリアジンとグルテニンは塩不溶性であるため、いずれも塩に溶けにくい性質をもっています。また、このタンパクの2つの性質を比較してみると、「スコアが低くても症状が出やすいグリアジン」は、含水アルコール(例えば、消毒液の70%エタノールなど)に溶けますが、「スコアが高くても食べられる確率が高いグルテニン」は尿素でないと溶けません。この尿素にしか溶けないタンパクは、あくまで実験上のレベルでは、抗原抗体反応を起こしにくくなっています。もちろん、皆無ではありませんし、ごくわずかながらでも反応もします。その分、他の塩可溶性画分と比較すると、抗原感作もされにくい(=抗体ができにくい)という経験もしています。もちろん、できにくいというだけであって、まったくできなかったわけではありません。これを実際の症状に置き換えると、グリアジニンをアレルゲンとする場合は、小麦のスコアが高くても、症状が出にくい理由のひとつになるのではと考えています。

では、「小麦の数値が高いのに…」と疑問をもたれる方も多いと思います。それは以前、「症状が出ても、検査結果に出ない理由」で書いたように、アレルギー検査のメインとなっているRAST検査は生体外検査であるため、塩可溶性画分でないと、抗原抗体反応が起こりにくいことが考えられます。そのため、小麦のRAST検査でわかる数値は、主に塩可溶性画分となります。これはグルテンではなく、アルブミンやグロブリンなどのタンパクになります。そのため、グルテンのみにアレルゲンがある場合、検査はあくまで目安となり、検査陰性でも、実際はとても強い症状が出る場合もあるのです。これは小麦のみならず、上記で書いた米など穀類に関するアレルギーでよく認められる検査と症状の矛盾になると思います。もちろん、他の蛋白源でも同様ですが、私の印象では、米・麦・雑穀など穀類に特に多く、医師にも認めてもらえなくて悩む方も多い現実だと思っています。

参考までに、10年前くらいの結果のようですが、上記の「塩可溶性画分のみ」に反応する人は小麦アレの3割くらいはいるそうですけど、あとの7割はグルテン単独もしくは塩可溶性画分との両方に反応するそうです。さらに、最近の研究で、上記2つのグルテニンとグリアジンは一部共通のアミノ酸配列をもってるので、グルテンに反応する患者は、どちらかのタンパクだけに反応するというよりも、両方のタンパクに反応している場合が多いそうです。そのアミノ酸配列は不溶性タンパクの中でも親水性の部分なので、反応性があるんだと思います。つまり、「親水性=抗原抗体反応を起こしやすい」なので…

上記を読むと、「小麦アレルギー検査でグルテンをメインに調べられないの?」と思うかもしれません。小麦の症状が強い人にはグルテンのみを調べる検査もあるようですが、最初のスクリーニングでは実施されないことの方が多いようです。通常のRAST検査で用いられる試薬は、塩可溶性画分+塩不溶性画分のはずですが、たぶん、塩不溶性画分の比率はかなり少ないので、ほぼ塩可溶性画分だと思います。そのため、日本では「小麦アレルギー=水溶性画分に対するアレルギー」の場合が多く、アメリカではそれが厳密に検査するのだと思いますが、「小麦アレルギー=グルテンアレルギー」なのだそうです。

だから、小麦アレルギーだけど、小麦が食べられる場合は、水溶性画分に対するアレルギーである場合が多く、小麦が食べられない場合は、やはりグルテンに反応している例がほとんどだそうです。それは最初に書いたように、小麦タンパクに約1/4と水溶性画分が少なかったり、例えば、米パンに約15〜20%小麦グルテンが入っていても食べられる場合は、このグルテンに反応していないからだということが分かってもらえると思います。その点が、米パン販売小売業で、「小麦アレルギーの自分の子どもが食べられたから、他の小麦アレルギーの子も大丈夫」と思い込んで、小麦グルテンのことを言わずに販売して、小麦アレルギーを発症させたこともその理由のひとつだと思います。

上記は、小麦数値が高くても、皮膚検査やHRT検査(これも生体外なので、RASTと基本的に変わらないけど…)などでOKであれば、案外食べられるケースが多い希望も出てくる人も多いと思いますし、逆に、検査陰性でも、小麦を食べて症状が出る場合の原因の可能性の1つとして理解をしてくれればなと思います。特に、小麦陰性の場合で皮膚症状に出ておらず、普通に摂取しているケースで、滲出性中耳炎(反復性のことが多い)、副鼻腔炎、蓄膿、アデノイド、風邪などが治りにくい場合に該当するケースがありますので、お心当たりのある方は、摂取量を控えるなどの工夫をしてみると良いと思います。

小麦による皮膚症状には塩可溶性画分とグルテンの両方が関連するそうですが、運動誘発性アナフィラキシーやセリアック病には主としてグルテンのみが関連し、そのグルテンのうち、最初に書いた「スコアが低くても症状が出やすいグリアジン」が特に関連しているそうです。一昔前までは、運動誘発性小麦アレルギーは早くても中高生くらいからでしたが、最近は低年齢化してきています。小学生からでも認められる場合が増えてきていますし、入学前でも発症する例も増えてきています。ただ、小麦が検査陽性でない例も案外多く、診断されない場合もあるのですが、外遊びをしたり、自宅内でも少しでも激しく遊んだり、体調が不良気味の場合は、入浴後などでも起こりうる場合がありますので、そういう経験がある方は食事記録をとり、小麦を与えた日と症状の関連性をチェックしてみて下さい。



<注意>
小麦の検査と症状の一致しない原因は、上記で100%説明できるわけではありません。それは、抗原抗体反応を介さない反応があるからです。例えば、リンパ球などを介する反応は抗原抗体反応を示さないので、そのタイプの方だと症状が強くても、血液検査の結果が陰性となります。もちろん、その場合は、リンパ球の検査をすれば分かると思いますが、多くの医療機関はやってないと思います。また、他にも解明されていないメカニズムが多数あると思うので、原因として考えられる可能性のひとつとしてとらえてもらえるとありがたいです。



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