アレルギー・アトピー

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妊娠中・授乳中の食事の影響

1.妊娠中・授乳中の母親の食事の影響
a)妊娠中の食事について 
家系にアレルギー傾向が強い場合(両親またはどちらかの親、兄弟姉妹にアレルギー症状がある場合など)は、妊娠中には予防的に食事制限を実施した方が良いと考えられています。胎児は遅くても妊娠8ヶ月(後期)頃から自分で抗体を産生すると考えられています。そのため、妊娠8ヶ月頃から卵・卵製品、牛乳・乳製品、鶏肉・牛肉などを控えめにする(または除去する)ことが望ましいようです。できれば、妊娠初期もしくは妊娠前からが理想的らしいですが、その理由に関しては、こちらを参照にして下さい。

特に、普段の食生活が乱れているなと感じる場合(外食・インスタント食品類が多い場合など)、妊娠に気づいた時点から(できれば妊娠を望んだときから)、下記の項で示すような食生活を心がけると良いと思います。これは妊娠後期になり、急に食事管理(制限)をすることは精神的にも体力的にも困難になるので、普段から徐々にそのような食生活に慣れるためです。産後、母乳育児をする場合は、特に食生活の管理が重要となります(母乳のためにも、赤ちゃんのためにも)。

ただし、自分や家族にアレルギー症状があり、日々食事管理に気をつけている方、もしくは上のお子さんに食物アレルギーがあり、その子供さんと同じような和食中心の制限食(もしくは除去食)のメニューとなるべく同じ食事をすることを心がけている方は、あえてする必要がないそうです。もし、除去をするにしても軽度で構わないそうです。普段、外食、インスタント食、洋食メニューなどを中心とし、卵・卵製品、牛乳・乳製品、肉類を毎日多く食べている方と比較すると、同じ「妊娠8ヶ月」といえども、その意味合いがまったく異なるようです(胎児の母体内環境という意味で)。ただし、本人に食物アレルギーがある場合は、妊娠中はその食物をとらない方が良いそうです。本人に症状が出ていなくても、そのアレルゲンを充分に消化できていない可能性が高く、それが子どものアレルゲンとなる場合があるようです。

そのため、前者の方の場合は、むしろ少し厳しく制限した方が良いそうですが、後者の方はそれ以上制限や除去をすると、精神的負担が高まり、母体に悪影響を及ぼしかねません。妊娠中も普段どおりの食生活を続けると良いそうです。多少の加工品(卵や乳製品入り)を朝食に毎日食べているからなどと、深刻にならなくても良いそうです。そして、アレルギー予防という意味では少し話がずれてしまいますが、抗原性が高いと考えられている魚類や肉類を普段より少し増やして、むしろ鉄分を積極的にとり、貧血予防を心がけることが重要だそうです。ただ、生後にアレルギー症状が出るかどうかの心配は尽きないと思うので、自分に無理のない範囲で注意をすることが食事管理を心がけると良いそうです(下記の項を参照)。その意味では、同じものを一度に多量にとらない、同じものを毎日食べ続けないという回転食は、アレルギー予防という概念から重要になると思います。


<注意>
最近、時代の流れに伴い、「妊娠8ヶ月以降の除去」に関しては考え方が変化して来ています。
こちらを参考にして下さい。

b)授乳中の食事について 
家系にアレルギー傾向が強い場合、もしくは上のお子さんが食物アレルギーである場合は、上記に書いたように、妊娠中から食生活の管理に心がけている方は多いと思います。しかし、最近は家系にアレルギーのある人がいなくても、生活環境の変化により、3−4人に1人の子供がアレルギー素因を持っているといわれている時代です。その意味でも、母乳育児(完全または混合)をする場合は、アレルギー予防とおっぱい管理をかねて、食生活を心がけることが重要となります。特に、乳児に食物アレルギーやアトピー性皮膚炎が判明した場合は、母親の食事制限が必要となります。念のため、これはミルク育児が良いといっているわけではありません。生まれたての赤ちゃんには、やはり、ヒトの母乳が一番良いことはいうまでもありません。ミルクは母乳成分に近くなっているとはいえ、やはりウシに含まれるタンパクがメインで、多少なりとも消化に負担をかけているのは事実ですし、アレルギー治療用ミルクですら、まったくあわないお子さんがいるのも事実だからです。

特に、母乳育児をしようと、栄養分のあるものを毎日たくさんとらないといけないと思い込み、卵や牛乳・乳製品を多量に摂取する人がいます。これは知らず知らずのうちに、アレルギー予防という意味では逆の行動であり、乳児湿疹を悪化させたり、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーとなる原因の可能性になったり、さらに乳質を悪化させ、母乳の出を悪くして、赤ちゃんの母乳嫌いの原因を作る元になっています。特に、アレルギー予防とおっぱい管理という意味での食生活は、保健所などで指導されることや本に書いてあることと、まったく異なる(逆)ので、戸惑うことが多いのも事実です。でも、現実には、下記に示すような食生活を心がけることが重要で、実は赤ちゃんのみならず、自分の体も自然と健康へと近づいているのです。アレルギーの強い家系の場合、母乳育児をする場合、アレルギー症状が出ていなくても、抗原性の高い食品や生もの(刺身・半熟卵など加熱不充分なものも含む))の摂取には特に注意をし、なるべく控えめ(もしくは除去)にすることが望ましいと思います。もちろん、今後の食物アレルギーやアトピー性皮膚炎発症の予防のために、赤ちゃんにも最低でも1歳までは、離乳食に卵や牛乳・乳製品などを用いないことが重要です。

<参考までに>
◇アレルギー素因をもつ児に対しては、母親は妊娠8ヶ月以降から生後8ヶ月になるまで卵や卵製品を完全除去した場合(赤ちゃんも離乳食において、生後8ヶ月になるまで完全除去した場合)、満5歳になるまでのアトピー性皮膚炎と小児喘息などの発症率が、除去しなかった場合と比べ、約1/2−1/3に減少したという臨床報告があります。これは卵や牛乳・乳製品など、抗原性の高い食品を早期のから摂取することが、今後のアレルギーの発症やアレルギーマーチに大きく関与していることを示しています。

◇アレルギーマーチについて
アレルギー体質をもつ個体に、アレルゲン、発症臓器、発症時期をかえながら、次々とアレルギー症状を起こすことをいいます。出生後まもない頃は、皮膚症状(アトピー性皮膚炎・乳児湿疹など)が主で、乳児期になると、呼吸器系症状(気管支喘息・アレルギー性鼻炎など)へとかわることが多く見受けられます。また、これらはいくつかの疾患が交代であらわれることや、併発することもあります。アレルギーマーチは母体内にいるときからはじまると考えられています。胎盤を通して、母親の食べたものに感作され、胎児自ら抗体産生をすることが明らかとなっています。出世後は、母乳や自分で口にしたミルク、食事などから絶えず感作を受け、さらに埃やダニなど環境アレルゲンに対する吸入感作もはじまることが原因のようです。

2.妊娠中・授乳中の食事に対する心がけ
食物アレルギーやアトピー性皮膚炎のある子供と基本的に同じ食生活を心がけることが、妊娠中・授乳中の食生活で重要となります。
◇ママに食物アレルギーや口腔アレルギー症候群(野菜や果物アレルギー)などがある場合、それを避けること、または充分に加熱して食べ、多食をしないこと
◇伝統的な和食を基本とすることが重要。ただし、和食に多く使われる塩と砂糖の使いすぎには注意すること。
◇精製度の高い調味料を避けること。砂糖の場合、精白糖をやめ、てんさい糖、オリゴ糖、きび砂糖などミネラル分の豊富なものを使用。塩に関しても同様で、精製塩をやめ、天然塩を利用(参照)。
◇食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを多く含む食品を多くとることを心がける。例えば、緑黄色野菜(小松菜・ほうれん草・カボチャ・人参など)、海藻類(わかめ・昆布・海苔・メカブ・ひじきなど)、雑穀(稗・粟・キビなど)、根菜類(大根・カブ・ごぼうなど)、小魚類(ちりめん・シラス・煮干など)などを積極的に料理に取り入れること。
◇動物性たんぱく質として、魚介類を中心にし、肉類を控えめにすること。
◇刺身・生卵・半熟卵など、非加熱の蛋白源を極力避けること
◇脂肪分と糖分のとりすぎに注意すること。そのため、フライもの、ファーストフード、外食をなるべく避け、新鮮かつ良い素材(無農薬または低農薬・遺伝子組み換えではない・国産など)を用いた料理を心がけること。
◇チョコレート、ケーキ類、ポテトチップなどの洋菓子やスナック菓子、缶ジュース類などの間食を控えめにして、主食でおやつを補う(おにぎり・ふかし芋・干し芋など)。間食をする場合は、アレルギー用のお菓子など糖分・脂肪分を控えたもの、または手作りのものにする。
◇使用する油については、炎症を起こす原因であるアラキドンサンの原料である脂肪酸を多く含むベニバナ油など(よく使われる油)の使用を避け、アレルギーを抑える役目のある亜麻の実油、しその実油、加熱で酸化されにくいオリーブオイルなどを利用する(参照)。
◇特定の食品を多量に頻回に食べないようにするため、回転食を心がける。お子さんに症状が出ていないからと食べ続けると、新たなアレルゲンを増やす原因となります。お子さんに症状があり、除去食を継続中の場合は、5日ごとのサイクルで、それ以外でも抗原性の高い食品などは、3日サイクルごとにすることが望ましい(参照)。
◇お子さんの症状が重度の場合、もしくはある食品(添加物を用いたものや仮性アレルゲンなど)に過敏症状が現れる場合は、家族とは異なる専用の鍋やフライパン、まな板、包丁、食器類を準備すること。100円ショップのもので充分。長年使用してきたこれらの器具や食器類には、洗剤で充分に洗っていても、成分が染み込んでいる場合が多いから(参照)。
◇小麦や大豆、およびそれらの製品は、可能な限り国産品でできたものを選ぶ(参照)。
◇腸内環境のバランスを崩さない食生活を心がけること(参照
◇健康に良いとされる食品である、ゴマやナッツ類を極力控えること(ゴマ類ナッツ類参照)。これらは感作される率が高く、1度感作されると、卵などのように3歳頃までに寛界というわけではなく、そばと同様、大人まで引きづる可能性が高いからです。

3.最後に…
最近は食生活や生活環境の大きな変化、抗菌嗜好が強くなっているため、現代の子供の4人(すでに3人という話もありますが)に1人が、発症の有無に関係なく、何らかのアレルギー因子を持っている時代となっているのです。そのため、「両親や家系にアレルギーの人がいないのに、…」という言葉はよく聞きますが、この言葉がもう通用しなくなっているのです。だからこそ、子供が欲しい場合は妊娠前から、もしくは妊娠に気づいた後から、遅くても妊娠後期から、せめて食生活だけでも見直してあげると、多少なりともアレルギー予防の効果があるのではと思っています。


<参考文献>
馬場 實、中川武正編、食物アレルギーの手びき改訂第2版、南江堂
(この本の感想はおすすめ内にあります)


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