アレルギー・アトピー

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食事療法(回転食療法)

食物アレルギーの治療法の1つである食事療法(回転食療法)は、除去食療法と並行して行われる原因療法の1つです。ある特定の素材がアレルゲンとなり、食べられなくなったことから、他の特定の素材のみを毎日多量に口にすることで、その素材が新たなアレルゲンとなる可能性があります。そこで、新たなアレルゲンの増加を予防するためにも、なるべく毎日同じ素材が重ならないように、多品種少量摂取を心がけることを「回転食療法」といいます。

1.回転食の方法
なるべく多くの種類の食べ物を、毎日重ならないように「回転」させて食べることが基本となります。ただし、回転させれば、何を食べても良いわけではなく、アレルゲンになりやすいものは、なるべく控えるようにすると良いと思います。通常、口にしたものが体から完全に排泄されるのに要する期間は3〜5日と考えられています。しかし、油脂類など体内の脂肪として蓄積されやすいものは数週間〜数ヶ月かかるものもありますし、添加物など体内で分解能力がないものは、数年にわたって蓄積することがわかっています。

理想的な回転日数は5日とされています。つまり、この5日間に同じ素材を2度食べないことです。そのため、同じ食べ物は必ず4日以上あけて食べることになりますが、抗原性が低いものや経済面などを考慮すると、3日回転で行う場合もありますし、抗原性が高い素材や厳格な予防法をしたい場合は、7日回転法を行う場合もあります。1日の考え方は基本的に「朝食から夕食まで」ですが、場合によっては、「昼食から翌日の朝食」という変則でも構いません。この1日なら、同じ素材を何度かに分けて食べることも可能です。

その具体的な回転例は、「離乳の進め方」内に示してあります。本来、どの素材においても、これらの回転法を行うのが理想的ですが、経済面や素材の鮮度を考えると、理想どおりにはいかないこともあります。やはり、タンパク源における上記の回転は重要ですが、抗原性の低い野菜であるならば、1歳をすぎて、消化能力が少しあがった頃からは、数種類のうちの半分を入れ替える方法でも充分です。その具体例は「離乳の進め方」内に示してあります(私独自のなんちゃって法でも良いかも…)。

上記を考えると、抗原性が高いものは、週に2−3回くらいまで、野菜などでも週に3−4回くらいまでの摂取にとどめるのが理想的です。さらに、多数アレルゲンもしくは過敏体質の場合、なるべくアレルゲンや症状が出るアレルゲンの数をそれ以上増やさないためにも、穀類、野菜、魚介類、肉類、果物、調味料、飲料などすべての素材を回転できることが理想的です。しかし、回転食を行う場合、「診断・治療・予防」のいずれを目的とするか、また、「症状の強さや年齢、抗アレルギー剤など他の方法との併用」かにより、使用する食材やどこまで回転を行うかは変わってくると思います。

2.回転食療法の目的
◇予防
ある特定の素材が除去対象となり、食べるものがないからと、他の特定の素材のみに依存して、毎日多量に口にすることで、症状には関係がなかった素材が新たなアレルゲンとなることを予防することを目的とします。具体例としては、卵または牛乳・乳製品に対するアレルギーになったとき、大豆・大豆製品に依存して、毎日毎食、豆腐、納豆、おから、煮豆、豆乳などを摂取することで、新たに大豆アレルギーになるケースが多いように思われます。

◇診断・治療
上記のように5〜7日程度の回転で食べることで、ある特定の素材を食べた後にのみ、症状が出ることがわかるようになり、それをアレルゲンだと判断するきっかけを作ることになります。ただ、食べてすぐに症状が出るものから、数時間もしくは2−3日後まで症状がでるものもあります。ほとんどは半日〜翌日位までが最も多いです。この場合は、前日まで振り返って、食事内容を検討する必要性があるため、食物日誌の記録が重要なポイントとなります。

また、食物抗原強弱表を利用しながら、抗原度の低い食品から高い食品へと食べられる素材を、回転食に徐々に取り入れることにより、安心して食べられる素材を増やしていくための「素材選び」をしていきます。食べられる素材が増えることで、除去するものにのみ心を奪われず、栄養面のバランスや精神面でのバランスを保ちながら、楽しい食生活をしながら、体の内面からの治療法である食物療法(食事による治療)を行っていくことを目的としています。

◇充実して楽しい食生活&家族で健康
除去食生活は「単なる除去」をすることが目的ではありません。アレルギー症状を抑えるために、原因となる食品を一時的に食べないにすぎません。その除去期間中に、安心して食べられる素材、つまり、新鮮なもの、旬のもの、食品添加物が少ないものなど、安心して食べられる素材を選び、現在の食生活が以前より充実して楽しいと思えるくらいになることを目的としています。そのためにも、なるべく単調にならず、同じ素材や同じ味付け、同じ調理法にならないように配慮することが重要です。

アレルギー・アトピーは子供が自分の身をもって「家族の健康」について考えることを警告してくれています。食事療法を行うことは大変ですが、家族全員でそれに準じた食生活を送ることで、みんなが健康になっていることが多いのも事実です。また、今の私たちの食生活は孫の世代にまで影響すると考えられています。特に、女のお子さんの場合、生まれたときには将来の子供にあたる卵(卵になる前の原始卵ですが)がすでに卵巣内にいます。そのため、幼少の頃から食生活に配慮することは、自分たちの孫またはひ孫世代にまで、健康な体を残してあげるきっかけを作ることになるので、すぐに効果が見えるものではありませんが、「本当の健康」を得る意味でも努力できると良いですね。

3.回転食療法が必要と考えられる場合
◇アトピー性皮膚炎などがあり、食事療法を行って、症状が落ち着いている人の再発予防
◇抗原性が高い素材や以前に過敏症であった素材を少量ずつ摂取する場合または除去解除後、アレルゲンとなる素材を少量ずつ摂取していく場合
◇両親もしくは片親にアレルギー疾患がある場合もしくは第1子がアレルギー疾患やアトピー性皮膚炎である場合の、第2子以降を妊娠・授乳中の母親の食事
◇アトピー家系もしくはアレルギー予防を行いたい場合の離乳食。最低1歳頃(離乳完了期終了頃)まで行うと効果的のようです。

4.回転食の重要性
アレルゲンとなる素材を一定期間除去をすることで、耐性を獲得すると(自然寛界)、徐々にその素材も食べることができるようになります。しかし、除去解除になったからと喜んで、いきなり普通の家庭での頻度で食卓にのぼるようなことがあれば、症状が知らないうちに再発する原因となることもよく知られています。もちろん、すぐに再発をしなくても、体調が悪い時や人間関係などストレスがたまったときに再発の引き金になることも多いようです。そのため、一度にたくさん食べることや、頻回に食べることを予防する意味でも、この回転食を実施することが重要となります。最初は食べる量を少量とし、週に1−2回となるように、他の素材との回転に徐々に組み入れるようにします。特に、過敏症やアナフィラキシーショック経験者の除去解除後は、上記で書いた理由から、この回転食が特に重要となります。

5.回転食をはじめる時期
アレルギー・アトピーであることがわかった時点もしくは疑いを持ちはじめた時点での開始はいうまでもありません。しかし、なるべく早期であることの方が有効のようです。赤ちゃんに関していえば、離乳開始と同時が最適で、母親に関しては、なるべくなら妊娠中、遅くても生後まもなくからの回転食により、赤ちゃんのアレルギー・アトピー予防にもなるようです。特に、アレルギーという側面から考えると、IgEの値がよく論じられます。健康な人でも、IgEをもっているので、この値が高いほど、アレルギー症状が出やすい傾向にあるのも事実です。幼少期は食餌RAST陽性率、つまり食物に対するIgE値が高いことが多いです。年齢が上がるごとに吸入性のIgE、つまり環境因子のRAST陽性率が増えてくるので、食事療法(除去食・回転食)をはじめるなら、なるべく早期が有効となります。この食事療法により、効果が得られると、IgEの総量が減るそうで、月齢が低い赤ちゃんほど効果的なようです。しかし、1歳頃をすぎると、環境因子(ダニ・ハウスダスト・花粉など)の影響を受けはじめるので、それらの影響が大きくなると、IgE値は下がりにくくなるそうです。このIgE値を下げることも食事療法の目的の1つのようです。そのため、食事療法をすることも重要ですが、妊娠中もしくは生後まもなくからの環境整備を同時に行うことで、より効果的なアレルギー予防&治療を行うことができることになります。


<参考文献>
◇佐守友仁、アトピー増やしていこう「食べてもいいもの」、p118−130、農文協、1999
◇松延正之、知らないと怖い食物アレルギー、p181−201、河出書房新社、2000
(これらの本の感想はおすすめ内にあります)


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