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母乳育児およびアレルギー対応ミルクへの移行

1.アレルギーっ子における母乳育児のメリットとアレルギー対応ミルク
a)母乳のメリット
まず、牛乳、母乳、育児用ミルク(通常タイプ)の成分のことを簡単に述べます。牛乳の組成は約80%がカゼインというタンパクで、残りの約20%が乳清タンパクだそうです。これに対し、母乳は約60%以上が乳清タンパクを占めており、この乳清タンパク中に赤ちゃんに必要な必須アミノ酸が多く含まれているそうです。育児用ミルクですが、母乳に近くなるように、この乳清タンパクを強化しているそうです。そして、この牛乳の主体をなしているカゼインとβ-ラクトグロブリンという両タンパクが牛乳(ミルク)アレルギーの原因となっているのですが、母乳にはこの2つの蛋白が含まれていないそうです。特に、ミルクアレルギーをもつお子さんの場合は、アレルゲンとなるこれらの蛋白が母乳に含まれていないため、母親の食事制限は大変ですが、母乳で育てた方が良いそうです。

一方、母乳には食物の消化を助けたり、消化器官の粘膜を保護したりする役割があります。ミルクと異なり、消化器官にかかる負担の割合が低いので(あっさりとした食事を心がけている場合は、特に消化がよい:腹持ちが悪く、こまめな授乳が必要となるが)、普通の赤ちゃんより消化器官が未熟なアレルギーっ子には、母乳が良いそうです。参考までに、母乳育児・ミルク育児のメリット・デメリットをまとめたものは、こちらです。

b)アレルギー対応ミルク
ミルク育児の方、母乳との混合育児の方のために、多くのアレルギー対応ミルクが製造・販売されています(参考)。アレルギー予防用ミルク(森永E赤ちゃん・アイクレオHI)やアレルギー治療用ミルク(牛乳アレルギー・牛乳&卵アレルギー・牛乳&卵&大豆アレルギー用)があり、ミルクの成分に含まれるアレルゲンとなる物質があらかじめ分解されています。ただし、これらは医師・栄養士の指導もと、赤ちゃんの体質にあうものを選択しないといけません(下記の項の理由から)。森永E赤ちゃんとアイクレオHIミルクはあくまで予防用ですので、ミルクアレルギーの症状がある場合の治療用としては使用できません。

c)ミルクアレルギーがある場合
ミルクアレルギーがある場合、新生児期から普通のミルクを使用した場合、早期より嘔吐、下痢、腹部膨満、体重増加不良などの症状がでることが多いようです。また、ミルクアレルギーをもつ母乳育児の子に普通ミルクを与えた場合、皮膚症状、呼吸器症状、消化器症状を示すことが多いようです。ミルク育児もしくは母乳との混合育児の場合、タンパクをアミノ酸に分解して消化を良くしたニューMA−1(森永)やミルフィーHP(明治)などが良く使われているようです。ただ、これも大元は牛乳なので、早い場合、10日くらいでIgE抗体ができて下痢や湿疹などの症状が生じる場合もあります(特に、アレルギー体質が強い場合)。その場合は、アミノ酸乳(明治エレメンタルフォーミュラ)が使われているようです。

d)食物アレルギーの症状がでる場合、母乳育児とミルク育児のどちらを選択するべき?
@アレルギー症状が軽度、もしくは除去するアレルゲン数が少ない場合
母親自身の除去食の頑張りで、母乳育児を続けることは充分に可能です。上記で書いたように母乳のメリットがあるので、頑張れるのであれば、少しでも長い期間(最低でも1歳を過ぎた離乳完了期頃まで)頑張って欲しいと思います。お母さんの頑張りは子ども自身がもっとも理解してくれると思います。

特に、ミルクアレルギーの場合は、低アレルゲン化をしてあるとはいえ、アレルギー対応ミルクですら、耐性ができやすいというデメリットがあります。早ければ10日間ほどで、症状の悪化があるようです。ミルクをはじめ、それ以外のアレルゲンでも母親の食事制限により、症状が少しでも早く改善することも多いようですし、母親自身の食事管理をすれば、アレルギー予防にもなることが多いのも事実です。痒みで寝られないときも、おっぱいなら寝付くこともあります(ミルクは飲む規定量が決まっているので、それは不可)。そのためにも、母乳育児は必要だと考えています。でも、どうしても食事制限または代替食の使用が辛い、精神的・体力的に耐えられない場合は、かかりつけの先生の指導のもと、アレルギー対応ミルクを検討するのも一つの手段です。母親が力尽きては、育児ができませんから… ただ、母乳育児の場合は、アレルギー対応ミルクの模索・決定、アレルギー対応ミルクへの移行という段階を踏まねばならないため、おっぱいの管理(乳腺炎予防など)に注意をしながら、赤ちゃんの体質にあうミルクを見つけ、赤ちゃんが戸惑うことなく飲んでくれるようになってから、断乳することをおすすめします。

Aアレルギー症状が重度、もしくは除去するアレルゲン数が多い場合
こちらの場合は、母親自身の食事除去に対する精神的・肉体的負担が相当なものになります。それでも母乳育児のみで頑張りたい場合は、家族の協力のもと(特に、食事準備に関して)、続けることは大いに可能です(上記に書いたメリットも多いので)。しかし、精神面のみならず、肉体的疲労、また代替食使用による経済的負担が、@の場合より高いので、母乳育児が長期にわたる場合(生後の早い時期に判明した場合)は思い切ってアレルギー対応ミルクにかえるのも一つの手段かもしれません。母親が倒れてはいけませんから… ただ、どのミルクが体質に合うかによっては、経済的負担がかなり異なってくるようで、エレメンタルフォーミュラなどのように高額なものになると、ミルク代だけで月に3〜4万かかることもあるようです。

まれに、アレルゲンの数が多く、血液検査のクラスが軒並み高い場合、もしくは総IgE値が高い場合、母乳育児により、その抗体値をあげてしまう可能性もあるようです。もちろん、体質によって異なりますし、アレルギー対応ミルクがまったく合わないお子さんもいますので、その見極めはとても重要になると思います。

これらの場合も、@で書いたように、医師・栄養士の指導のもと、アレルギー対応ミルクの模索・決定、アレルギー対応ミルクへの移行という段階を踏まねばならないため、おっぱいの管理(乳腺炎予防など)に注意をしながら、赤ちゃんがミルクを戸惑うことなく飲んでくれるようになってから、断乳に入ることをおすすめします。

母乳育児体験談ミルク育児体験談をまとめていますので、参考にして下さい。

2.母乳育児からミルク育児へ移行する場合の注意事項
a)いきなりの断乳は避けること
食物アレルギーのあることがわかり、医師から除去指導を受け、自分の除去の辛さに対する思いが先行して、子どものことを後回しにして、いきなり断乳をする方が意外と多く見受けられます。また、自己判断でなくとも、医師により、ミルク育児への切替と断乳をすすめられる場合があります。

しかし、子供の月齢が低い場合であろうと、高い場合であろうと、いきなり断乳をすることはおすすめしません。理由は、上記1c)項で書きましたが、医師のアドバイス通りに切り替えたミルクでも、自分の子どもに必ずしも適応しているとはいえないからです。ミルクが赤ちゃんの体質にあえば問題ないのですが、最初は症状が出なくても、上記で記述したように、まれに、早くて10日、遅い場合には1ヶ月以上経過してから、そのミルクに耐性ができて、逆に症状が悪化する場合があるからです。

すると、また新たなミルクの模索をする必要性が出てきます。ミルクへの切替えと同時に母乳育児を中止していた場合には、特に月齢の低い赤ちゃんには飲ませるミルクがすぐにないことになります。離乳食が開始していれば、数日は離乳食メインも可能ではありますが、長期的には不可能です。断乳して数日の場合は、母乳育児を復活させることは充分可能でも、1ヶ月以上経過するとなかなか困難です。そのためにも、いきなりの自己都合による断乳への先走りはやめることです。

b)必ず赤ちゃん優先にすること
上記で書いたように、ミルクを模索・決定するまでの最低でも1ヶ月は、どんなに辛くても除去食を行うことが必要です。除去の方法にもよりますが、アレルゲンを口にしたことにより、母乳に移行することは間違いありません。もちろん、少量口にする程度なら、赤ちゃんに症状が出ない場合もありますが、その場合でも毎日アレルゲンを少量でも摂取することで、赤ちゃんの体内でのアレルゲンの蓄積はされますので、できるなら完全除去、できない場合でもアレルゲン自体の除去はもちろんのこと、アレルゲンを少量含む加工品も毎日食べるのではなく、3−5日に1度程度にとどめるべきです。そして、赤ちゃんの体質にあうミルクが決定後に、母乳育児を続けるのか(完全または混合)、断乳の道を選ぶのか選択します。

c)断乳の方法
断乳の方法については、母乳育児の項にありますので、そちらを参考にして下さい。1歳前後になると言い聞かせをすることは重要ですが、低月齢の場合には言い聞かせは必要ありません。いずれにせよ、気候のベストな時期、お互いの体調の良いときを選ぶことは、非常に重要なポイントです(断乳により、お互いの体調が崩れ、風邪を引きやすくなったりするため)。ただ、断乳後まもない時期以外は、授乳の再開(後戻り)はほとんど不可能だと考えて下さい。あのとき断乳をしていなければ…と悩んだりする可能性が少しでもあるなら、断乳を見合わせるべきです。自分で後悔をしない道を選択して下さい。


<参考文献>
◇中村 晋、飯倉洋治編著、最新食物アレルギー、p199−202、2002
(この本の感想は、おすすめ内にあります)


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