母乳育児

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授乳中の服薬・嗜好品

1.授乳中の薬の影響(母乳への移行)
市販にしろ、医師の処方にしろ、短期間で服薬する分(抗がん剤や抗うつ薬など精神関連の薬などは除く)はほとんど影響がないと思われますが、一応、留意点を書いておきます。まず、薬物の母乳中への移行は母親の服薬量の平均0.5%で、多くても2%だそうです。新生児や小児への直接投与が成人量の約20%らしいので、この量は非常に少ないと考えられます。ただ移行量が少なくても、薬の種類によってはまったく影響がないとは言い切れません(薬にあう、あわないという体質があるため)。そのため、服薬は授乳直後にすること、そして、赤ちゃんの体の状態の変化の有無を見ることが大切です。飲み具合が悪くなる、眠りが浅くなる、元気がなくなる、湿疹が出る、機嫌が悪い、便の状態が変わったり、尿の量が減る場合にはすぐに服薬を中止し、医師に見てもらうことが必要です。

上記のうち、特に、新生児への授乳は要注意です。新生児では、薬物代謝・排泄に関与する肝臓や腎臓の機能が未発達です。そのため、薬物の血液濃度中の半減期(薬物の血液中濃度が半分になるまでの期間)が長くなり、副作用が現れやすくなります。そのため、母親の服薬は本当に必要な場合以外はなるべく避けるべきです。どうしても服薬する場合、上記に書いた体調の変化には、充分すぎるほど配慮して下さい。


2.風邪の初期症状があるのですが、授乳中の服薬は大丈夫?
風邪の初期症状の場合は、葛根湯の服薬をおすすめします。葛根湯は乳腺炎予防にも効果があり、液状の場合は、1日3本までと指示がありますが、5本までなら服薬OKだそうです(特に、症状の早期改善が必要とされる場合)。あとは、家事・育児で大変ですが、なるべく時間を見つけて静養し、風邪を少しでも早く治すことにより、服薬をしないですむことがベストです。万が一、発熱をした場合、バファリン(解熱剤)を一時的に服薬(頓服)できます。このバファリンは乳腺炎になって、高熱を出した場合も服薬OKです。ただし、バファリンは乳汁移行することがわかっており、基本的には授乳中は避けることとなっております。そのため、絶対に長期連用は避けて下さい。39-40度もしくはそれ以上の高熱が出て、育児に支障を与えたり、病院で診察を受けるまでの一時的な措置として対応し(1−2回の服用のみ)、その後は医師の指示に従って下さい。

これらを服薬する場合、どうしても母乳中への薬物移行による赤ちゃんに対する副作用が心配になり、授乳を控えたり、やめたりする場合があると思います。今まで頻回授乳をしていたのに、いきなり授乳を控えたり、やめたりすると、おっぱいトラブルを生じる原因となり、主症状(風邪)以外に、乳腺炎による高熱で苦しむという二重の疾患にかかる可能性もあるので、授乳をしっかりと行った方がよいと思いますが、移行が不安な場合には、高熱の中、大変ですが、搾乳を定期的に行って下さい。

風邪を引いて、咳などで苦しい場合は、なるべく市販薬よりも医師の処方による風邪薬をもらうことをおすすめします。授乳中であることを最初に申告すれば、授乳中でも大丈夫な薬を処方してくれると思います。普通の内科で心配な場合(もしくは服薬中の授乳をとめられた場合)は、近くの産婦人科に電話をして、その旨を伝え、薬の処方ができるかどうかを問い合わせてみると良いと思います(妊婦も風邪を引く可能性があるので、産院で胎児になるべく安全な薬を準備していると思うので)。どうしても医師にかかれない場合は、近くの薬局で、薬剤師さんにその旨を説明し、授乳中でも大丈夫な市販薬を購入するといいと思います。いずれにせよ、症状が治まり次第、すぐに服薬は中止しましょう。


3.インフルエンザに感染した場合の、授乳中の服薬
特効薬には、タミフル・リレンザ・シンメトレルの3種類があります。タミフルですが、治療効果は高いのですが、副作用も割と多いらしく、老人への使用は要注意となっています。ただし、問題となるような症例は、現在のところ報告されていません。小児用タミフルが発売されましたが、使用例が少ないため、1歳以下への安全性は確立されていないとのことです。リレンザですが、これは吸入薬で12歳以上が対象です。これも治療効果が高いのですが、子供への安全性に関するデータがほとんどありません。また、大きな問題となる副作用の症例報告は、タミフルと同様にありません。これらの理由から、この2剤に関しては、添付文書に基づくと、授乳中の母親に関しては、授乳を避けるべきとなっています。ちなみに、タミフルとリレンザはA型・B型の両インフルエンザには有効ですが、C型インフルエンザには効果がないとのことです。授乳を避ける理由は、2剤とも動物実験により乳汁中への移行が認められていることと、特に、1歳以下に対する安全性が確立されていないためです。ただし、1歳を越えて授乳をしている場合のタミフルのみは、小児用がすでに発売されているため、授乳を中止する必要性がないものと考えられます。それは上記1でも書いたように、直接服薬する場合と比較すると、はるかに少ない量であるためです。一方、シンメトレルという、A型のインフルエンザのみに効く処方薬がありますが、これは上記より制限が厳しく、授乳は禁止です。ヒト母乳中への移行が確認されているため、絶対に服薬はできません(他の2剤は動物実験上の乳汁移行確認であるため)。また、この薬は本来パーキンソン病の治療薬だそうで、上記の2剤が不足をしている場合、こちらを処方されることが多いようです。

医師によっては、上記の薬物に関しては、授乳中でも服薬OKとする先生も多いようです。その際は、上記の「授乳中の薬の影響(母乳への移行)」を参考に、赤ちゃんの状態を必ず観察しながら、服薬するようにして下さい。ただ、これらの薬は長期間服薬するものではなく、3−5日程度ですので、高熱の中、大変ですが、3−4時間ごとの搾乳をすることで、おっぱいの状態を保ち、医師の指示により、授乳を再開した時点で、すぐに頻回授乳を行い、おっぱいの状態を以前の状態に戻される方がよいと思われます。病み上がりで大変だとは思いますが、特に、母乳を分泌するためのホルモンが一番多い夜間の授乳を怠らないで下さい。もちろん昼間も同様ですが、疲れた場合は、午後〜夕方にかけて、ミルクを少量足すと良いと思います。この中止期間中に、張りがともて強い、もしくはしこりができたなどの場合は、乳腺に詰まりができた可能性が高いため、お近くの産院、もしくは助産院でマッサージを受けることをおすすめします。それまでは乳腺炎のトラブルに関する対処法を参考にして下さい。

<参考>
◇いずれの抗インフルエンザ薬も発症後48時間以内に服薬しないと効果がないとされています。特に、乳幼児・小児はインフルエンザ脳症、高齢者は肺炎などの合併症を併発する可能性があります。小児のインフルエンザ脳症に対しては、解熱鎮痛薬の投与禁忌がほとんどで、死亡率が増加する原因となりますので、インフルエンザの可能性が疑われる場合は早めの受診をおすすめします。

◇小児用タミフルが発売されたものの、1歳以下への投与は本来ならば、上記の理由から避けるべきですが、禁忌となっていないため、実際の医療現場では処方されている例も少なくないようです。しかし、投与された約半数(3ヶ月以降)に重症例はないものの、嘔吐や下痢などの副作用が認められらたようで、厚生労働省や輸入販売会社は1歳未満には処方しないように勧告していますので、授乳もできる限り控えた方が良いと思います。ただし、移行量が直接服薬するより少ないため、授乳中の服薬がOKとなる場合も多いと思いますので、その場合は、マスクなどをして、授乳をすることをおすすめしますが、上記1で書いたように、お子さんの皮膚症状、便の状態などに変化がないかの確認をお忘れなく…

◇授乳再開の目安
☆タミフルカプセル もしくは タミフルドライシロップ
<75mg>←普通はこれ!
 血中最高濃度:服薬後約4時間
 血中濃度がほぼ0:服薬後約24時間
 授乳開始の目安:服薬中止後1日

<150mg>
 血中最高濃度:服薬後約4時間
 血中濃度がほぼ0:服薬後約48時間
 授乳開始の目安:服薬中止後2日

☆リレンザ
 血中最高濃度:服薬後約1.6時間
 血中濃度がほぼ0:服薬後約24時間
 授乳開始の目安:服薬中止後1日

☆シンメトレル
 血中最高濃度:服薬後約3時間
 血中濃度がほぼ0:服薬後約48時間以上
 授乳開始の目安:服薬中止後2日目以降

<注意>
上記の内容は、あくまで添付文書に基づいて記述しておりますので、授乳を中断する方向で書いていますが、母乳推進団体などでは、こちらの理由から授乳可能としているようですので、最終的には主治医と充分に相談の上、授乳と服薬について決めて下さい。


4.妊娠・授乳中の嗜好品(飲酒・喫煙・コーヒーなど)と栄養剤の影響
<アルコール>
アルコールは容易に胎盤を通過するため、胎児の血中濃度はすぐに母体の血中濃度と同様になります。大量飲酒(純アルコール75ml、1ヶ月に最低純アルコール675mlの飲酒が基準)をする人から産まれた新生児は、早産・低体重児の場合が多くなる傾向があります。また、胎児性アルコール症候群も認められ、発育遅滞や四肢・顔面・頭蓋の先天異常があり、知能障害・学習障害・異常行動の原因となっています(欧米では出生1000人に1人位)。

また、妊婦がアルコールを飲むと、アルコール以外にその代謝産物のアセトアルデヒドやケトン体も胎児に移行し、胎児毒性や亜鉛欠乏症の危険にもさらされます。そのため、妊娠中のアルコールは全期間を通じて、禁酒をした方が安全だといえます(飲酒量の安全とされる範囲も確立されていないため)。授乳中の母親の飲酒については、乳児にアルコール中毒、低プロトロピン血症による出血、偽クッシング症候群(肥満や成長遅滞、円形顔など)が発症した例がありますので、常習的に飲んでいる方は、授乳を避けるべきで、ミルクへの移行をおすすめします。

<タバコ>
タバコには多くの化学物質が含まれており、そのうち、ニコチンと一酸化炭素がもっとも胎児への影響が大きいとされます(血管を収縮させ、胎児に送られる酸素や栄養分を減少させてしまうため)。特に、妊娠中に1日20本以上の喫煙をすると、流産、早産、死産、低体重児などが多く報告されており、妊婦のいる家庭、職場では喫煙を控える方が無難です。

授乳中に母親が喫煙をすると、母乳中からニコチンが検出されるそうです。また、ニコチンの代謝産物(コチニン)も母乳中に移行します。ニコチンとその代謝産物は、乳児の発育に影響を及ぼす可能性があることや乳幼児突然死症候群の原因となることがあり、喫煙本数の多い母親からの授乳により、子供がニコチン中毒になったという症例もあります。また、喫煙により、母乳の分泌量が減り、授乳期間が短くなることもあるようです。喫煙は乳児にとって理想的な栄養源である母乳をわざわざニコチン汚染させているようなものなので、喫煙者自身の問題だけではなく、そばにいる乳児も直接煙を吸っていることになり、気管支喘息などの原因ともなるので、子供を育てる上で、禁煙に強い関心を向ける必要があります。これは母親のみならず、生活を共にする家族全員にいえることだと思います。

<コーヒーや栄養ドリンク剤>
コーヒーや紅茶、緑茶などには多数の成分が含まれますが、そのうちカフェインが胎児への影響が最も大きいと考えられています。コーヒー1杯には約100mg、お茶1杯には約30mg、コーラ350mlには約50mg含まれており、栄養ドリンク剤にも無水カフェインが多く含まれています。眠気覚ましやストレス解消には良いけれども、1日5杯以上のコーヒーを飲むと、出生体重の減少が報告されておりますので、これらの多量飲用は控えた方が無難ですが、1日1−2杯程度なら、特に問題ないとも考えられているようです。授乳中の母親に関しても、カフェインが母乳中に移行するので同様ですが、コーヒー食後1杯程度なら問題ないと思われます。ただ、食事の注意の項にも書いたように、コーヒーに関しては豆類からの抽出品なので、おっぱいにしこりなどできやすい、または乳腺炎にすぐになる方は、意外と多くの油分を含んでいるようなので、飲用を控えめにした方が良いそうです。


<参考文献>
◇山崎 太・安田忠司、改定第2版 妊婦・授乳婦とくすり(2001.8)
  →現在は、改定第3版 妊婦・授乳婦とくすり(2005.8)になっています。
  →感想は、こちら
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