母乳育児(母乳の成分とメリット

1.母乳で育てること

ヒトの赤ちゃんにはヒトの、ウシの赤ちゃんにはウシの、ヤギの赤ちゃんにはヤギの母乳で育つというように、各哺乳動物にはそれぞれの哺乳動物のおっぱいで育ちます。各哺乳動物によって、乳汁の組成がかなり異なり、ヒト、ウシ、ヤギ、ゾウ、オオカミなどの乳汁は、糖質・たんぱく質・脂質・ミネラル分の含有量に大きな差があり、それぞれの種の乳児に最適な栄養が得られるようになっています。一般的に、ほとんどの哺乳動物は、出世時の体重の約3倍になるまで母乳のみで育てられます。ヒトの場合、それが約1年ということになります。ただ、ヒトの場合は、途中から離乳食と併用しますが…

高度経済成長の頃より、粉ミルクが主流となり、現在では母乳に成分が近づいたので、母乳とほとんど変わらないが売り文句です。そのため、医療従事者、保健師、栄養士、粉ミルク全盛時代の自分達の親世代は、すぐに「母乳よりはミルク、ミルク」とすすめてくる場合が多いと思います。

しかし、粉ミルクの大元はウシの乳です。その人工栄養時代の影響が現在アレルギー・アトピーの増加の原因のひとつとなっているとも言われています。もちろん、ミルクがすべて悪いわけではなく、主な原因は、我々の生活環境や食生活の大きな変化にあると考えられています。

<参考>
アレルギー・アトピーが増えた要因の詳細は、こちら

2.母乳の成分

<初乳と母乳に含まれる免疫物質>
産後2〜3日に分泌される母乳を「初乳」といいます。母乳が多く出なくても、免疫物質が豊富に含まれています。それを赤ちゃんがしっかりと飲むことで、それ以降の感染症などに対する防御反応を作り上げていきます。その後、成乳となり、免疫物質は初乳ほど濃くはなくなりますが、断乳(卒乳)までずっと分泌され続けます。「生後半年を過ぎたら、免疫がまったくなくなるから、母乳を与えても無意味よ」と言う人は意外と多いのですが、そんなことはありません。生後半年でなくなるのは、母親の胎内にいたときにもらった免疫であり、それは母乳育児だろうと、ミルク育児だろうと同じものであり、これはミルク主体的な考えだと思います。

粉ミルクが全盛となったのは、数十年前からであり、それまではどんな衛生面で劣悪な生活環境の中でも、母乳で育ってきました。例えば、戦時中には食料獲得が充分でなく、離乳食に用いる米などもないので、母乳のみで最低1〜2年は育てたと聞いています。これは栄養以外に、この免疫機能がないと、生きることが難しい時代の中で、子育てをしていくための母乳の優れている一面だと思います。

<母乳、特に初乳に多く含まれる免疫物質>
◇IgA抗体
IgA抗体は消化管で多く分泌され、赤ちゃんの体内に細菌・ウイルス・アレルゲンなどの侵入を予防する役割を担っています。このIgA抗体は初乳の中にとても豊富に含まれており、赤ちゃんの消化器系のみならず、呼吸器系の粘膜などの保護にも効果があり、風邪等の感染症から守る役割を果たします。このIgA抗体の詳細に関しては、こちら

◇リゾチーム
ウイルス・細菌からの感染を予防し、善玉菌であるビフィズス菌の発育促進をする物質です。母乳育児の赤ちゃんはミルクの赤ちゃんの腸内細菌と比べ、ビフィズス菌の割合が増えています。ビフィズス菌が多くなると、悪玉菌である大腸菌の割合が減ります。

◇ラクトフェリン
鉄分を含むタンパクで、大腸菌やカンジダ菌の増加を抑制します。上記のIgA抗体とともに、強力な免疫機能を発揮する役割を担います。

◇白血球
白血球とは、血液中に多く含まれ、感染防止の役割をもつ細胞ですが、これが初乳中には含まれています。それは母乳が血液から作られるためです。

<母乳に含まれる栄養物質>
上記で述べたように、各哺乳動物により、それぞれの哺乳動物の育児に適するように、母乳は作られています。ヒトの母乳は牛乳に比べ、乳糖と脂肪の含有量が高く、タンパクとミネラルの含有量は少なくなっています。もし、牛乳を赤ちゃんにそのまま与えてしまうと、牛乳中のタンパクと脂肪が消化困難となります。そのため、育児用のミルクは母乳に近い成分比となるように、成分を調整・加工していますが、限度があります。母乳の脂肪分の98%は消化可能で、消化吸収という意味で、はるかに優れています。このことからも、牛乳などは、本来、母乳中に含まれない成分(タンパクなど)が消化機能の未熟な赤ちゃんの腸に負担をかけて、アレルギー症状を起こす原因のひとつと言われています。

ここでは、ヒト母乳に含まれる主な栄養分を示します。母乳栄養に関しても、免疫と同様に、生後半年を過ぎると、栄養がなくなるから、離乳食から栄養をとるようにしなさいと言われることが多いと思いますが、これも正しくないそうです。母乳育児を1年半以上続けても、児の栄養に大きく影響を与えるような大きな変化はないというデータがあるそうです。ただし、乳児の需要量に応じて、各成分組成は変化するそうです。日によっての変動(日差変動)、さらに、1日のうちでも変動(日内変動)があるそうです。栄養補給という観点から、母乳は少なくとも生後1年間の脳と神経系の正常な発育に不可欠なコレステロール特殊脂肪成分の含有量が高いのが特徴的だそうです。さらに、乳児発育に適切な量のカルシウムとリンを含んでいます。また、牛乳に比べ、母乳はミネラル含有量が少なく、腎機能が未発達な生後半年くらいまでの理想的な栄養源となっています。ミネラル分が多いと、腎機能に負担を与えるため、ミルクは成分の濃度を調整しています。

◇タンパク各種
これはヒトの赤ちゃんの成長にとって最適な量と質が含まれており、消化もスムーズにできるタンパクのみが含まれています。

◇アミノ酸各種
多くのアミノ酸が含まれていますが、タウリンはヒトの母乳にしか含まれていません。

◇脂肪
脂肪の中には脂溶性のビタミンが多く含まれています。また、必須脂肪酸も多く含まれ、赤ちゃんの体の成長と中枢神経系の発育に重要な役割を担います。母乳中に含まれるコレステロールは赤ちゃんの神経系にて機能を果たし、細胞膜を作るなどの役割があります。また、母乳中のコレステロール値は人工栄養より高いのですが、長く飲んでいると、食事からの脂肪の摂取をコントロールする役割を担い、大人になってからコレステロール値を低くするともいわれています。

◇各種ビタミン群
問題となるのは、ビタミンKですが、これは母乳自体が問題ではなく、体内でビタミンKが作られにくいヒトがいることがわかっていますので、ビタミンKを多く含む食品(緑黄色野菜や納豆など)を積極的にとると良いと思います。また、生後まもなくビタミンKシロップを服用することで、不足を予防できるそうです。

◇糖質
主に乳糖です。カルシウムの吸収を促し、ビフィズス菌の発育に重要な役割を果たしています。脳の中枢神経系の発達にも関与しています。

◇微量元素
鉄、亜鉛、マンガンなど約100種類以上の重要な元素が、体が円滑に働くために含まれています。

3.母乳のメリット

<顎の発達に関与>
現代の子供は顎の発達が悪いといわれています。これは飲みやすい人工乳首(顎や舌などをあまり使わなくても容易に飲める)で粉ミルクを飲む機会が多いこと、固い食材が食卓にのぼる機会が減ったことなどが原因だそうです。しかし、母乳を飲むためには、顎や舌などをたくさん使わないと飲めません。このおっぱいを吸うという運動が、顎の発達を促進し、さらには脳の刺激になり、全体的な発育に良い影響を与えます。顎の発達は、咀嚼力の発達・正しい歯並びを作る基礎などになるそうです。

<満腹中枢を発達に関与>
母乳の赤ちゃんは飲むときは一生懸命飲み、満足すると、乳首を離すことが多くなります。しかし、ミルクの場合は与えられるだけ飲むことが多く、胃が充分に満たされるまで飲んでしまいがちになることが多いそうです。これは母乳の成分が、最初と終わりで異なるからだそうです。飲みはじめは脂肪分が少なく、徐々に脂肪分が濃くなり、自然と赤ちゃんのお腹がいっぱいになることがわかるように分泌されるそうです。授乳回数が少なく、たまった母乳では、糖分・脂肪分が多いので、異なるかもしれませんが… そのため、赤ちゃんが、自分のお腹に見合う量で満足するように、食欲がコントロールされるようになります。

<受胎調節に関与>
頻回授乳を行っていれば、排卵は起こりづらく、避妊効果があります。産後まもなくから頻回授乳を心がけていれば、断乳時まで生理がこないことも珍しくありません。ただ、排卵にはホルモンが大きく関与しているので、頻回授乳を心がけていても、精神的・肉体的ストレスなどによりホルモンバランスが乱れると、授乳中でも排卵はおこります。また、昔と比べると、食生活の変化により、最近は産後まもなくから、生理が再開することも増えているようです。

<免疫力>
上記で示したように、栄養学的にも母乳は最適であり、免疫物質を豊富に含んでいるため、新生児の免疫機能の刺激と活性化をします。それは出生直後のみならず、その後の発育過程を正常にし、病気に対する抵抗力を高める役割もするそうです。母乳の免疫物質に関しては、こちらのIgA抗体を参考にして下さい。

<きずな>
子どもにとって、直接母体と接触をするため、母子間に強い絆を作ることに貢献します。もちろん、ミルク育児の方でも、しっかりと胸に抱っこをして、授乳をされている場合は同様ですが、ベビーカーやラックに載せた状態で授乳をしている方は、是非、親子の絆を高めるためにも、抱っこをして、お互いの体のぬくもりを感じながら、授乳を行うことをおすすめします。

参考

◇福井早智子、アトピーっ子にしない母乳育児BOOK、p22−30、1992

お願い

お気に入り登録は、サイトのトップにして下さい。
トップ以外のページはアドレスが変更になる可能性があります。

アレルギー生活改善総合研究所(楽天市場店)
アレルギーヘルスケア (もぐもぐ共和国商品、ケンコーコム取扱)
タカキヘルスケアフーズ
ミニヨン手作り工房カワムラ
楽天市場
楽天ブックスTOP
【日本最大級】楽天トラベル
ベビー&キッズ - ケンコーコム





母乳育児・目次に戻る

TOPに戻る